流星群 (ページ16)

今日:35 hit、昨日:29 hit、合計:38,896 hit

貴方の腕が声が背中がそこに在ってページ16

-

『今日の収録、俺らと一緒じゃん。』

朝起きて、北斗から来たLINEを読んだからか、それとも低気圧のせいか、頭にズキズキと痛みが走る。

「先輩方、今日はよろしくお願いしまーす。」
「おっ、Aじゃん。」
「頑張りなさいよ、後輩。」
「樹、北斗がうざいんだけど。」
「お前そういうこと言うと収録中助けてやんないからな。」
「いいです～ジェシーに助けてもらいます～。」
「だはっ！俺！？」

テレビ局ー共演者の人たちに挨拶に行く流れでSixTONESの楽屋にも顔を出す。挨拶に行こうか迷ったけれど、仕事は仕事。いつも通りにしていれば大丈夫なんて思いながらも、目では慎太郎のことを探していて、いないことにホッとしていた。

北斗とはあの日気まずい空気が流れたものの、普段グループ活動をしている彼は私よりずっと大人だった。珍しく二軒目に誘ってくれた北斗のおかげで気まずいままが続くことはなくて、今も、樹たちと話しながらちらりと北斗を見れば目が合ってその目が緩やかな弧を描く。

「・・じゃあ、また後で！」
「え、慎太郎飲み物買いに行っただけだからもうすぐ戻ってくるだろうし、待ってれば？」
「んーいや、大丈夫！慎太郎の顔見飽きてるし！」

ジェシーの笑い声を聞きながらSixTONESの楽屋を後にする。ああ、大丈夫じゃん。ちゃんといつも通りに振る舞えてたよね、と胸を撫で下ろす。そのまま収録も、ちゃんと与えられた役割をこなして、台本には慎太郎を含めSixTONESと絡むところもあったけれど、それもちゃんと笑顔でやり切った。プロデューサーの人にも「またお願いね。」なんて言ってもらえて。少し頭痛が和らいだ気がした。

「ゴメン、A。急用ですぐ本社行かないといけないんだけど、タクシーで帰れる？」

今日の仕事はこの収録で最後で、帰る準備をしていると、楽屋の外で電話をしていたマネージャーの酒井さんが顔を覗かせて言う。