流星群 (ページ15)

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「それで？最近はどうなの。」
「全部いきなりだなあ。」
「あなた悩みとか吐き出さないタイプでしょ。」
「悩みかあ・・」

やっと自分の分を焼いて、食べ始めた北斗を見ながら最近あったことを話し始めた。ー慎太郎の彼女に2人きりで会わないでほしいと言われたこと。それから慎太郎とあまり連絡を取っていないこと。慎太郎に避けてる？って聞かれて、突き放したこと。黙って聞いていた北斗は、私がひとしきり話し終えると口を開いた。

「Aはそれでいいの？」
「・・いいも悪いも、私にはどうしようもないことじゃん。」
「・・慎太郎には何も伝えないってこと？」
「・・北斗、この話やめよ。」

珍しく私を責め立てるような言い方をしてくる。いつも私が話して、ただ聞いてくれていたのに、今日は違った。ほら、焦げちゃうと話を逸らそうとしても北斗は納得してくれなくて。北斗のハイボールの氷が溶けて、からんと音を立てる。

「俺、Aの気持ちに気づかない慎太郎にもちょっとムカついてるけど、でも、Aも逃げてるって思ってる。慎太郎からじゃなくて、自分の気持ちから。」
「じゃあ、私はっ、」

思っていたよりも荒げてしまった声を飲み込むように、唾を飲み込んだ。北斗の言葉にちゃんと言い返すことができない。図星だったからだ。飲み込んだ言葉も、言い訳でもましてや正論でもなんでもなくて、ただの馬鹿で幼稚な罵声だったと思う。自分が嫌になる。

幼馴染という枠からはみ出すこともできなくて、告白する勇気もなくて、自分の気持ちを正当化させて、慎太郎の気持ちや高島さんの気持ちを尊重しているようなふりをして、私は全部から逃げた。悩むことからも逃げて、そしてまた、心配してくれている北斗の言葉や眼差しから逃げようとしている。

「・・ごめん。言いすぎた。」
「・・ううん、私もごめん。」
「俺さ、Aにも慎太郎にも幸せになってほしいって思ってる。」
「・・うん、ありがと。」

さっきまで美味しかったはずのお肉は、もう味のしなくなったガムを食べているみたい。それをジョッキに少し残っているビールで流し込む。ぬるくなったビールは、ただ苦いだけだった。