第三十二話:痴話喧嘩 ページ39
次の日の朝、私は悪夢を見なかったことに安堵してベッドから起き上がる。
薬も完璧に体から抜けたようで、指先の痺れも治っていた。
ローはぐっすりと眠っていて、目の下には少しクマができていた。
『ゆっくり寝てね…』
朝まで警戒して起きていてくれたローに布団をかけ、静かに部屋を出た。
サンジの仲間の誰かに会えたらいいな、と思いながら城の中を歩き回るが一向に会えない。
すれ違うのは、スーツを着て武器を持った人達だけ。
帽子をとって挨拶してくれるけど、ジェルマ66のお城にいる時みたいに感じるからかなり居心地が悪かった。
仕方なくローがいる部屋に戻ろうと思ったが、どうやら迷子になってしまったらしく何度も同じ場所を歩いていた。
途方に暮れて廊下に座り込んでいると、遠くから伸びてきた手が私の足を掴んだ。
『っいや！？幽霊！？』
驚きのあまりその手を振り払おうとしたけど、遠くの方から何か叫ぶような声が聞こえて動きを止めた。
手が伸びてきた方を見つめて目を細めると、誰かが猛スピードで突っ込んできているのが分かった。
瞬きをして目を開けると、次の瞬間にはルフィさんが目の前に居て頭同士をぶつけた。
『痛っ…！』
｢A！治ったのか！｣
頭を抑えて悶える私を目の前に、仁王立ちで笑うルフィさん。
文句を言ってやろうと立ち上がると、奥の方に人が沢山集まっているのを見た。
その場にいる人の表情や、雰囲気、持っている武器等から、
もう作戦開始寸前ということが分かった。
｢今からサンジを助けに行くんだけど、お前も来るか？｣
『えぇ！私も行き…』
｢駄目だ、危険すぎる。｣
ルフィさんの誘いに乗ろうとした私の言葉を遮って、いつの間にか起きていたローが私の肩を掴んだ。
振り返ると頬を片手で掴まれて、喋れなくなる。
｢昨日カタクリに攻撃されたのを忘れたのか！？あいつはお前に執着しすぎてる、今度こそ殺されるぞ…！｣
『〜っ！』
かなり怒っているのが表情から見て取れた。
彼が怒りの矛先を向けているのは、カタクリだ。
だけど、私だってこのままでいる気は無い。
あんなことされて、黙ってられる訳ないもの。
私は顔を掴むローの手を取って、そのまま手を握る。
そうすると、もう片方の手でまた頬を掴もうとしてきたのでそっちの手も握った。
｢はぁ〜、お前ら仲良いなぁ〜｣
｢麦わら屋、作戦会議で俺はちゃんと言ったはずだ！｣
『何をよ！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒山羊(プロフ) - 瑠璃さん» コメントありがとうございます！最後までありがとうございました！ (2022年10月30日 0時) (
レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 完結お疲れ様です❗とても良いお話でした(*´∀｀)素敵なお話ありがとうございました❗ (2022年10月29日 23時) (レス) @page50 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
黒山羊(プロフ) - kyokunarebaさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉です！最後までありがとうございました！ (2022年10月29日 19時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
kyokunareba(プロフ) - 完結お疲れ様😆🎵🎵 (2022年10月29日 19時) (レス) id: 486500e958 (このIDを非表示/違反報告)
黒山羊(プロフ) - 眠さん» コメントありがとうございます！間違いの指摘とても助かります！ (2022年10月23日 23時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒山羊 | 作成日時：2022年10月8日 18時
