第三十一話:気持ち悪い人 ページ38
その光を掴もうと手を伸ばすと、目が覚めた。
｢A！｣
名前を呼んでくれたのは、ローだった。
今が夢なのか、さっきのが現実なのか…
曖昧で分からなくなっていた私を、ローは優しく抱き締めた。
彼の背中に手を回して、服を掴む。
誰かに触れられた…
じゃあさっきのは…夢…
｢良かった…｣
『…一体何が…』
混乱したままローに聞くと、
私がカタクリの手から逃れる時に持っていた鏡の破片を、目の前に置いた。
ローが割ったのか、粉々になっている。
｢ﾁｯ……油断も隙もねぇ。こんな真夜中に攻撃とは、相当焦ってるみたいだな。｣
『…夢の中に、入ってきたの？』
あまりの気持ち悪さに、私は鏡から目を背ける。
ローはそんな私を見て、部屋の明かりをつけて鏡の破片をどこかに飛ばしてくれた。
『ローが居てくれて良かった、そうじゃなかったら私…』
｢そうじゃなくても、助ける。｣
言葉を遮ってそう伝えてくれる彼を見て、私はやっと安堵する。
まさか自分の身を守るために持ち出した物が、私を貶めるなんて…
カタクリは本当に危険な男だ、何故私に執着するの…
震えながら、私はベッドに倒れ込む。
｢俺が見張ってるから、安心しろ。｣
『ロー…』
私は彼に体を預けて、身を小さく丸める。
彼の腕の中で、私は考える。
もしも何もしなかったら、あの夢の通りになってしまう。
そんなの嫌、家族が傷付く所なんか…見たくない。
その原因が、私だとしたら尚そうだ。
……そうよ
サンジも、レイジュも、ヨンジも、皆助ける。
後ついでにイチジとニジと父さんも…
嫌な人達だけど、どうしても見捨てられない…
きっとサンジも同じはず、
だからこそ今、誰よりも不安だと思う。
上手く部屋から逃げた私の夢に即座に入り込んだカタクリも、
きっと母親に命令されたんだわ。
ビックマム、強敵ね。
まさか、夢にまで入ってくるなんて…
そこまでして、私を手に入れたい…？
いえ…そうじゃないわ…
なら、やはり狙いはジェルマ66の技術なんじゃ…
そう仮定すると、私達家族はビックマムにとって邪魔者だわ。
…やっぱり、結婚式で殺すつもりなんだ。
私も含めて…
となると、カタクリは私をビックマムに殺されないように早めに捕まえようとしたんだわ。
やだ、それもそれで気味が悪いわ……
一体私の何が気に入ったのよ…
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黒山羊(プロフ) - 瑠璃さん» コメントありがとうございます！最後までありがとうございました！ (2022年10月30日 0時) (
レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 完結お疲れ様です❗とても良いお話でした(*´∀｀)素敵なお話ありがとうございました❗ (2022年10月29日 23時) (レス) @page50 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
黒山羊(プロフ) - kyokunarebaさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉です！最後までありがとうございました！ (2022年10月29日 19時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
kyokunareba(プロフ) - 完結お疲れ様😆🎵🎵 (2022年10月29日 19時) (レス) id: 486500e958 (このIDを非表示/違反報告)
黒山羊(プロフ) - 眠さん» コメントありがとうございます！間違いの指摘とても助かります！ (2022年10月23日 23時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒山羊 | 作成日時：2022年10月8日 18時
