･ ページ3
二番目の兄、「ニジ」は私に変な物を食べさせる。
石ころや、土。
花や草。
それならまだしも、
ニジは私に
私は嫌だった、
そんな変な物食べたく無かった。
無意識的に「母と違う」事をしたくなかったんだと思う。
ぐしゃぐしゃに握りつぶされた悪魔の実を、
無理やり食べさせられた。
不味い、不味いと泣く私を見て。
兄は笑っていた。
… … …
そしてその日の夜、夢を見た。
この城から、羽ばたく夢だ。
夢の中の私には、背中に白い大きな翼が生えていた。
近くにある湖で、自分の姿を見ると。
お城の半分くらいの大きさの獣になっていた。
立ち上がればお城のてっぺんに手が届くくらいに大きかった。
見た目は昔本で読んだ「グリフォン」にそっくりだった。
四足に、長いくちばし、しっぽ。
全身が純白で覆われた獣の自分が、好きだ。
「ソラの生き写し」なんかとは程遠い。
ただの獣の自分が、何となく誇らしかった。
翼を動かして少し飛んでみたり、四つの足で走ってみたり。
上手く四本の足を扱えなくて湖に落ちたり。
私はとても自由だった。
そんな幻想は、
ベットから落ちた衝撃で終わってしまう。
夢から覚めた時は、
なんだが気分が悪かった。
この城に囚われている事実が、私を縛る。
洗面台に行き顔を洗おうと鏡を見たら、
驚く程に大きく真っ白な翼が自分の背中から生えていた。
未だ夢の中にいるのか、そう思い頬をつねるが痛い。
『夢…じゃない？』
考えられるのはひとつ、
昨日食べた悪魔の実だ。
私は直ぐに電伝虫でレイジュを呼び、
事の顛末を話した。
レイジュも最初は私の変わった姿に驚いていたが、
昨日ニジに悪魔の実を食べさせられたと話すと直ぐに理解し、調べてくれた。
どうやら私が食べた悪魔の実は、
「トリトリの実(モデル:グリフォン)」
だという事らしい。
幻獣種の悪魔の実は貴重で、
ましてやグリフォンとなると誰かに口外したりするのは危険だとレイジュは判断した。
だから私は朝から不気味な笑みを浮かべて近づいてくるニジに、
『私が食べた悪魔の実はとても弱いものだった。』
と、そう伝えた。
ニジは興味無さそうに、
「なんだよ、つまんねぇな。」
と言いながら立ち去った。
私は不可抗力ながらも、この城から逃げる為の翼を手に入れた。
ありがとうニジ、そこだけは感謝するわ。
… … …
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒山羊(プロフ) - 瑠璃さん» コメントありがとうございます！最後までありがとうございました！ (2022年10月30日 0時) (
レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 完結お疲れ様です❗とても良いお話でした(*´∀｀)素敵なお話ありがとうございました❗ (2022年10月29日 23時) (レス) @page50 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
黒山羊(プロフ) - kyokunarebaさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉です！最後までありがとうございました！ (2022年10月29日 19時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
kyokunareba(プロフ) - 完結お疲れ様😆🎵🎵 (2022年10月29日 19時) (レス) id: 486500e958 (このIDを非表示/違反報告)
黒山羊(プロフ) - 眠さん» コメントありがとうございます！間違いの指摘とても助かります！ (2022年10月23日 23時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒山羊 | 作成日時：2022年10月8日 18時
