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サンジはいつも私に夢を語った。


料理人になりたい、

この目で「オールブルー」を見に行きたい、

そう夢見る兄の背中を、押さない訳にはいかなかった。



そう思っていたのは、
ゼロ番目の姉「レイジュ」も同じだった。


その人間離れした力で檻をへし曲げ、サンジを逃がした。


私の檻も同じように…


私もサンジと共に外に出て広い世界を見たかった。

目を輝かせて語る「オールブルー」を見てみたかった。



でも私は、母に似すぎた(・・・・)


父はサンジが逃亡するのを見逃したが、
私を逃がしたりはしなかった。

今でもあの父の声や顔を覚えている。

肩を強く掴まれた痛みをも記憶している。



今は亡き愛した妻の「生き写し」が必要だった。

贖罪でもするように、懺悔でもするように。

父は私に縋った。



私はただ、
サンジが無事に航海ができている事ばかり祈った。

それしか出来なかった。



… … …



時が経ち成長していく自分を、鏡で見るのが嫌いだ。

声も、顔も、全部。

母に似ている。



歳を重ね、「ソラ」に近づく。

私は私を見失いそうになる。

そういう時は部屋にこもって、ひたすらに自分の名前を発する。

そんな私を抱き締めてくれるのは、レイジュだけ。



それから兄達は、
昔と違って私に殴る蹴る等の暴力を振らなくなった。

逆に、精神的に攻撃するようになったんだ。



1番上の兄「イチジ」は私を床に押さえつけて、

「私の名前を呼べ」

と要求してくる。



『こんな事したくない。もうやめてよ。』



そう抵抗すれば、

「求めているのはAの方じゃない」

と私の頬を叩く。



痛みから泣けば、

「違う、母上はそういう風に泣かない。」

と言うのだ。



イチジは幼い頃に受けなかった母の愛を、瓜二つの私から変わりに求めるようになった。

それを他の兄弟達に知られるのも嫌だから、私はイチジの部屋に閉じ込められる。



酷い日は、
私をベットに招こうとする。


体を見て、母と違う所が無いかを確認してくる。



それが何よりも1番、気持ち悪かった。




レイジュがいつも助けに来てくれるから、体を汚されたことは無い。



… … …

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黒山羊(プロフ) - 瑠璃さん» コメントありがとうございます!最後までありがとうございました! (2022年10月30日 0時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 完結お疲れ様です❗とても良いお話でした(*´∀`)素敵なお話ありがとうございました❗ (2022年10月29日 23時) (レス) @page50 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
黒山羊(プロフ) - kyokunarebaさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉です!最後までありがとうございました! (2022年10月29日 19時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)
kyokunareba(プロフ) - 完結お疲れ様😆🎵🎵 (2022年10月29日 19時) (レス) id: 486500e958 (このIDを非表示/違反報告)
黒山羊(プロフ) - 眠さん» コメントありがとうございます!間違いの指摘とても助かります! (2022年10月23日 23時) (レス) id: 61644a4ba4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒山羊 | 作成日時:2022年10月8日 18時

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