mademoiselle

＃車を買いたいさとるん ページ5

スタジオで楽器を触っていたら大希くんがインスタライブを始めた。



「Aも映る？」


「んーん」



大希くんとせきゆーの反対側のソファで大希くんのギターをいじっていたから、映らなくていいよーと返す。だってここのソファ座り心地いいんだもん。



「あ、理来た」



今日は一人別の仕事でスタジオには不在の理くんが、どうやらインスタライブに参加リクエストを送ったらしい。

おつかれー、なんて理くんの声が画面の中から聞こえる。



『あれ？Aは？』


「ソファにいる」


『Aちゃーん！理くんお仕事終わりましたよー！』


「理くんお疲れ様〜」



Aちゃーん！なんて公共の電波で甘えたように呼ぶから仕方なくひょこっと画面を覗き返事する。



「お、コメントすげ(笑)」


「さすが人気者」


「こんにちは〜(お手てふりふり)」



インスタライブを見てくれている視聴者さんに向かって手を振ったら画面の中の理くんが思いっきり手を振り返してきた。あ、これ通常運転です。

ちょこっとお邪魔してまたソファの定位置に戻る。大希くんに比べたらまだまだギターの腕前は下手くそで、やっぱり大希くんは凄いなぁっていつも感心する。



「ちょっと車欲しいなって」



結構集中して練習していたら聞こえてきたとても危険なワード。どうか聞き間違いであってほしい。

大希くんのギターを立てかけぴょこっとソファから飛び降りて携帯の前で屈んでいる大希くんの背中に乗っかり画面を覗き込む。

あまりにも当たり前の光景すぎて大希くんもせきゆーもスルー。何なら危なくないように大希くんは咥えていたタバコを灰皿に押し付けて消してくれた。まだ吸って間もないのに。優しいんです、とても。



「いや、まじでお前やめろって」


「えっ！」


「怖えよ理の運転は」



大希くん、せきゆー、和輝くんが矢継ぎ早に理くんを止める。もちろん、私も反対。



「病的やでお前、運転」


「20kmで走るから」



どうやら本当に車が欲しい理くん。



「俺の助手席のハジメテはAって決めてるから」


「やだよ」


「なんで！？」


「まだ死にたくないもん」


「でもさ俺車持ったら毎朝一緒に行けんじゃん！」


「じゃあ私が車買うよ」


「Aは俺の助手席で十分やろ」


「大希だけずるいって！」


「理、どんまい」




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参考@youtube 井口さんの車事情
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