八訓 ページ10
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しかし待っていたのは痛みではなく優しい手の感触だった。思わず彼を見上げるとそこには今までに見たことないくらい優しい顔をした土方さんがいた。
「アイツと知り合いだからなんだ。お前は攘夷浪士じゃねぇんだろ?」
その問に目をパチパチさせながらコクりと頷く。
「なら問題ねェよ。……お前がいなきゃアイツらも悲しむからな」
そう言うと頭にあった手の感触は離れていき桂一派の元へ走って行った。そこからは早かった。次々と浪士達を行動不能にさせていきあっという間に残りはヅラ一人となった。
「……今回は引くとしよう。仲間を見捨てるのは心苦しいが仕方あるまい。A!コイツだけはダメだからな!!さっきラブコメ的な展開になっていたがお父さん許さないからな!!」
『はよ捕まれ犯罪者』
最後までどうでも良いことを言い残してからファミレスから逃げ去ったヅラ。その光景を悔しそうに舌打ちをしながら見つめる土方さん。そして頭をガシガシと掻きながら此方へ戻って来る。
「怪我ねぇか」
『あ、はい。あの…ありがとうございました』
「ああ」
さっきのはきっとうちが攘夷浪士じゃないことを周りのお客さんに伝える為に言ったのだろう。証拠にさっきの噂をしている者はもういなかった。
その後は引き継ぎの真選組が事情聴取やら攘夷浪士の連行を済ませてうちと土方さんは帰って良いとのこと。まぁここは副長の口添えもあったが。それでも気づけば二十一時を回っており、荷物はジミー君が後でパトカーで送ってくれるらしいので身軽な状態で土方さんと家に帰宅しているのだった。
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睡眠足りない布団好き女子(プロフ) - 茶魔さん» ありがとうございます!!もどかしい2人をこれからもよろしくお願いします笑 (2022年3月27日 17時) (レス) id: 4363425499 (このIDを非表示/違反報告)
茶魔(プロフ) - めっちゃ良かったです。土方さんと距離が縮みそうで縮んでないような雰囲気にドキドキしました! (2022年3月27日 15時) (レス) @page13 id: b44f6f7184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睡眠足りない布団好き女子 | 作成日時:2022年3月25日 23時