四十六 ページ46
本来ならば寝ていなければいけないところを無理を言ってザキちゃんに肩を貸してもらいミツバちゃんのところへ来た。
他の隊士達は到着してないみたいだ。ザキちゃんは連絡してくると私に耳打ちすれば、そっと扉の先へと消えた。
気配に気づいたのかその瞳が私を捉えられた。
『ミツバちゃん…』
「…私、幸せだったわ。貴方みたいな友達ができて」
腹部が痛み、一瞬顔が歪んだ。
それを悟られないように安心させるように微笑むがミツバちゃんにはそんなの通用しないようで。すぐ異変に気付いたらしく頬に触れると「痛くない?」とガーゼをさすってくれた。
温かいその手をギュッと握り頷く。
「女の子なんだから…あまり顔を傷つけてはダメよ?お嫁に行く時、困っちゃうんだから」
『真選組と共に生きて…真選組と共に死す予定なの。だから、いいの』
そうだったわねと微笑む。ゆっくりと頬を撫でてくれる手が何かを思い出したか離れる。病院着の懐に手を差し入れると何かを取り出し、私の手に握らせた。開くと黄色と青色で編まれたゴムが掌で転がる。
「Aちゃん髪長いし綺麗だし似合うと思って。私からの、プレゼント」
髪を縛っていたものを外し貰ったそれを髪に括り付ける。ミツバちゃんに見せてみれば、私の髪にそっと指を通して微笑む。その笑顔からは終わりが近いなんてのが嘘みたいに感じる。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年8月31日 0時