四十一 ページ41
口の軽いザキちゃんが局長に知らせるのも時間の問題だと私たちは分かっていた。多分、今頃には伝わってる筈。援軍が来るまでもう少しってところかな。十四郎ちゃんを見れば彼は煙草を取り出していた。
__私がするのは時間稼ぎってとこかな。
彼の座るその隣に腰を下ろし荒くなった息を整える。が、そんな暇なんて相手がくれるわけもなく刀や拳銃を持った浪士達に囲まれた。
腹が痛む。千切ったスカーフの半分を腹にギュッと巻きつけるがそれはすぐに真っ赤に染まる。気にしてられるかと、腰を上げ刀を片方ずつに握り直す。少しだけ手が震えるのは血が足りてないからなのだろうか。そんなの分からないけどこの人の為に盾になること。
__それが副長補佐の務め。
そんなわたしを嘲笑うかのように蔵場が少し高い位置から私たちを見下ろす。
「残念です、ミツバも悲しむでしょう。古い友人を失くすことになるとは。貴方達とは仲良くやっていきたかったのですよ」
『ンな事アンタ思ってないでしょう。どーせ自分のことだけだろ、クソ野郎』
「フッ、まぁ真選組の後ろ盾を得られれば自由に商いができると思い、その為に縁者に近づき縁談まで設けましたが。まさかあのような病持ちとは」
コイツの言ってることを理解するのに時間を要した。普通の人が言うような言葉じゃないそれに私は唇を噛む。どうしようもないくらいに腹が立った。自分の体を犠牲にしてもアイツまで辿り着いて頭っから叩っ斬ってやりたくなった。
__ふざけんなよ、クソ野郎が。
その言葉を発する前に蔵場は口を開く。
「姉を握れば総悟くんは御し易しと踏んでおりましたが、医者の話ではもう長くないとのこと。非常に残念な話だ」
「ハナから俺たち抱き込む為にアイツを利用するつもりだったのかよ」
「愛していましたよ、商人は利を産むものを愛でるものです。ただし
道具としてですが」
私の中で何かが切れた。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年8月31日 0時