五 ページ5
「ささ、姉上」
「待って、総ちゃん」
ミツバちゃんは私の方へ向き直るとお久しぶりと柔らかく笑う。
それに私もお久しぶりですと返せば私の手を取る。
「Aちゃん、なんだか少し痩せた?身長も伸びた?ちゃんとご飯食べてる?寝不足になってない?」
『痩せてないし身長も伸びてないよ?それにご飯はきちんと食べてますし寝不足にもなってないよ、だから安心して?』
そういえば安心したのか肩の力が抜けたように笑う。
ミツバちゃんの奥でムスッとしている総悟くんの方へミツバちゃんを送り出せば Aちゃんも一緒にどう?なんて誘われる。
だけど総悟くんが休みということはうちの副長の仕事が増えるわけで。
非番の予定だったけど彼が休みという事は副長の仕事が溜まるわけで。
それを考えて非番は持ち越すかと考えた私は今日は姉弟水入らずでどうぞと微笑む。
それを合図に、総悟くんはミツバちゃんの手を引っ張って客間を出ていった。
「局長、Aちゃん…なんですか、ありゃ」
「アイツはな幼い頃に両親を亡くして、それからずっとあのミツバ殿が親代りだったんだ」
『あの子にとってはお母さんみたいなもんなのよね』
「…へぇ」
「今日くらいいいだろ。男にはああいう鎧の紐解く場所が必要なんだ。特にアイツのように弱みを見せずに片意地張って生きてるような奴には、な」
「分かりました、今日の沖田さんは見なかった事にします」
そう言ったザキちゃんは何かを企んでいるかのように笑った。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年8月31日 0時