この世界の片隅に【土方十四郎】 (ページ2)

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「オイ、あの別嬪さん誰だ？何笑ってんだ？」

「結婚がなんたらと言ってなかったか？」

「っんだとぉ！お妙さんという者がありながら局長の野郎！！」

『覗いてんならもうちょっと静かにしなさいよ、馬鹿供』

「「「Aさん！！」」」

私が後ろに立っていたことに気づかなかったんか。
みんな目が取れるんじゃないかってくらい見開いてるし、
口も開けすぎだし。
…其の儘顎外れてしまえばいいのに。

なんて悪態は隠して。

あの声って確か…。

「お前ら知らねえの？あれ沖田さんの姉上様のミツバさんだよ」

ザキちゃんの口から出てきたのは懐かしい人の名前。

私の耳に届いた懐かしい声の主はやはり彼女だったのか。
懐かしさに頬を緩めていればポンと肩に置かれた手に気付く。

『総悟くん』

「なんでィ、こんなとこ突っ立って」

『いや、これ』

目の前の隊士たちを見るように目線だけ動かす。
それだけで何かを察したのか、片手にバズーカを抱える。

…あー、これ避けないと駄目なやつ。

こんな状況に気づかない彼らはまだ口を開く。

「しかし似ても似つかんねぇ、あんなお淑やかで物静かな人が沖田隊長の…。」

「だから、よく言うだろ？兄弟のどっちかがちゃらんぽらんだと、もう片方はしっかりした子になるんだよ、バランスが取れるようになってんの世の中」

ザキちゃんが言葉を言い切った時カチャと機械的な音がして私はそっと一歩下がる。

同時、大きな爆発音が屯所に響く。

それとともに何人かの隊士が覗いていた襖ごと外へ吹っ飛ぶ。

おー、飛んだ飛んだ。