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幸せな夢を見ていた気がする。
ゆっくりと現実に戻れば目の前にはうちの副長の顔。
ん…?副長?
『え、ちょ、何してんの』
「客が来てんから起こしにきたんだよ」
『その前に勝手にレディーの部屋に入ったのは如何なものかと』
「レディーっつーのはどこだ」
『目の前目の前』
は?と眉を寄せたうちの副長。
この人の目はどうやら節穴らしい。
私のこと起こしにきたくせに私が見えてないらしい。
これだから副長は…。
態とらしく溜息を吐けば舌打ちが降ってくる。
「んなこたァどうでもいいんだよ」
『私はどうでもよくないんだけど、十四郎ちゃん?』
「テメーさっきから一々一々…つかそれで呼ぶな」
額に青筋が浮かび始めたがそんなのどうでもいい。
まずこの男が勝手に部屋に入ってきてる方が問題だ。
だいたい今日私非番なんだけど。
なんでこんな朝早くに起こされてるわけ。
つかなんで機嫌悪いの。
眉間に皺よりすぎだろ。
なんだ、歳か?歳なのか?
「余計なこと考えてんじゃねぇぞ、餓鬼」
『そろそろ斬るぞ、コノヤロー』
「うっせーんだよ。兎に角面洗ってとっとと客間に行け」
有無を言わさず腕を掴まれ布団から私を出せば
十四郎ちゃんはそのまま部屋を出ていった。
いやなんなんだ、あいつ。
上司だけどさ、私年下だけどさ、何あの態度。
つか部下相手に適当すぎん?
腹立ってきた、後でぜってー斬る。
アイツのせいで完全に眠気は飛んでしまった。
溜息を吐きながらお気に入りである黄色の着物に腕を通し、
長い黒髪を軽く纏めて藍色の元結で縛った。
十四郎ちゃんに言われた通り客間へ行けば中を覗く面々が。
仕事もしないで何してんだコイツら。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年8月31日 0時