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暗闇の中、私は目を覚ます。
ふと時計を見ると、まだ日の出には早い時間。
嵐は完全に過ぎ去っていった。
旅人さんに言われたことを思い出す。
胸が苦しい。
「少し外に出よう。」
暗い屋敷の扉を開く。
月明かりが眩しい……。私は川の方へと向かう。
肌寒い。
彼の愛を疑ってしまった。
だけど、彼は私のことを愛するのは義務と思っているような気がして。
私達はずっと一緒にいるものだと、植え付けてしまった気がする。
私も…同じ……?
川に私が映る。不安な顔だ。
「……!」
私に向かってぴょんぴょんとやってくるスライム達。
雷スライムがいなくて良かった。
「今は…ちょっと機嫌が悪いんだ。」
雷が落ちる。
肌がピリピリする。
私も神になれば、何かわかるだろうか。
水面に映る私が、私の知っている自分じゃない気がした。
ねぇ、私はどうしたいの?
「……好きなんだ。結局。」
私の心には彼しか浮かばない。
そんな時。私は後ろに誰かいる気配を察知し…振り向いた。
氷の粒が私に向かって飛んでくる。
“アビスの魔術師”
間に合わない!!
「壁立千仞!」
聞き慣れた声。
アビスの魔術師のバリアが割れる。
「天道、ここにあり。」
強い風が吹く。
アビスの魔術師が塵となって消えていく。
彼と目が合う。
そして、ガバっと抱き締められる。
「……?!」
「!大丈夫か、瑠璃……!」
私のことを心配することより、私のことを抱き締めるのが先なってしまったのだろう。
気持ちは正直なんだな。
あぁ、私はこんな人の気持ちを疑ってしまったんだ。
「夜は冷えるだろうに、そんな薄着で……。それにまだ夜中だ。危ないだろう。」
私に自分の上着を着させる。
「怒ってないの……?私は、勝手に璃月から出たのよ。」
「あぁ、少し怒ってる。だがグシオンから理由は聞いた。」
「……!」
そっと、私の頬に手を添える。
「お前の決めた道を俺が邪魔する権利なんてない。だが、もう俺は間違えたくないんだ。瑠璃…いゃ、柊朔。側にいさせてくれ。」
「だ…駄目だよ、、、それは……。」
私の声は震えていた。
ようやく、私は自分が犯した過ちに気づいた。
昔から私は変わっていない。
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作者名:ふく | 作成日時:2022年8月10日 23時