▷ ページ25
あー。うー。うん。
部屋が見事に荒れている。
空き巣に入られたか……。
ここ数日…モラクスに看病されていたからこの家には帰っていない。
「強盗に入られたのか？」
「おそらくは。あー…私の大量のモラが消えてる。」
「追うか?」
「うーん、そうしたいのはやまやまなんだけど。」
「荒らされたのは、数日前だな。」
私が理由を説明する前に、モラクスに言われてしまう。
流石と言うべきだろうか。
昼間は賑わってる璃月港だが、外れなんて夜になれば人目が無くなる。
どこで私がいっぱいモラを持ってると聞きつけたのか……。
まぁ、いいや。
私は散乱したものを片付けて、皆さんを座らせる。
「旅人さん。何か詳しく聞きたいことはある？」
「……全部。」
「ははっ。分かったよ。じゃあ話すね。」
＿＿＿＿数千年前。
私はモラクスと一緒に璃月へやってきた。その時は別になんの関係もなかった。私も仙人の一人だったのだ。
それから色々あって、モラクスとお付き合いすることになったの。
え？色々って何か？馴れ初めを話すのはちょっと恥ずかしいから、いつかね。
数百年はとくに何も無かったわ。
でも、その数百年後は色々あったわ。隣の国のモンドで色々あったり。
そんな中璃月は魔神戦争に備えていたわ。
まぁ、私は使えないやつでしたけど。
魔神戦争は激しかった……。
終結するまで、何百年もかかったわ。
その後よ。私が病にかかったのは。
負けた魔神の魂が、災厄へと代わり…人々を苦しめていった。
私も病にかかり、身体を蝕まれていった。
流石にモラクスや、璃月の人々に移すわけには行かないと…私はひっそりと姿を消して、引き籠もったわ。
身体が丈夫だったのか知らないけど、グシオンが私の事を看病してくれたの。
けど、その病に本格的に私が飲み込まれて始めた。
私は引き籠もっていたところから抜け出し、街を目指していた。恐ろしいことに、誰かを巻き込もうとしたのだ。
私の意思とは関係無しに足が動いた。
私を追いかけてきたグシオンに私は最後のお願いをした。
私を取り込むように。
今思えば危ない行為だったと後悔してる。多分、そのときは頭がもう回らなかったんだと思う。
けど、私の願いをグシオンは聞き入れた。
その現場を見てしまったモラクスと、グシオンによる激しい戦いが始まってしまった…
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作者名：ふく | 作成日時：2022年8月10日 23時
