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「流石にボロボロすぎるぞ……。」

「数千年も立ってるからな。」



彼らはかなり険しい道のりを進んでいたようだった。
そんな危険を突破し、遂には最深部へ。



「扉だな。何処かに開ける装置は……。」

「何か書いてあるよ。」

「約束の人を待つ……?誰のことだ?」



壁に書いてあった文字を見ていると、ゴゴゴ…と地響きが起きた。
扉に視線を移すと、徐々に扉が開いていく。

壁の文字に関しては何がなんだかを分からなかった。



「あぁ…来たんだね。モラクス。」

「グシオン。」



彼が顔を上げると、旅人とパイモンはゾッとした。
顔の半分に禍々しい模様が入っていて、オーラもとてつもないものだった。



「ここで貴様を終わらせる。」

「数千年前の続きということか……。面白い。」



鍾離とグシオンの力が激突する。
その風圧に飛ばされそうになる旅人とパイモン。



「大丈夫か。」

「ありがとう。」



旅人を支える魈。

この戦いは長引くか、それとも……




○●○


激しい力のぶつかり合いの音がする。
今のグシオンに勝機なんて無い。

このまま見殺しには出来ない。



「っ……!」



私は精一杯の力を使って走った。

グシオンに、もう戦う気力などない。
モラクスの一撃で、彼は……。



「柊朔?!」

「やめて!!!」



私はグシオンとモラクスの間に入る。
モラクスの槍が私の鼻先ギリギリで止まる。
あ、あぶな……。

彼の顔は怒っていた。



「柊朔殿、何故止めた?やはりグシオンの片割れなのか?」

「半分そう。」

「……!まさかお前は…」



膝を着いていたグシオンが私を見る。
私は彼と目線を合わせる。



「もう、悪役を演じるのは終わりにしよう。グシオン。」

「……グレ…モリー?」


身体のほとんどを病が侵食している。
こんな姿になっても…彼は私のお願いを背負ってきた。

あぁ、全部私のせい。



「グシオン、今までありがとうね。私はここに来たから。貴方は自由の身になれる。」

「やめろ!やめてくれ……。」



私が力を使おうとすると、止める。



「私はお前が元気ならいいんだ。お前が…幸せならいいんだ……。」

「駄目よ。その病はもとは私のもの。数千年、私の代わりに抑えてくれてありがとう。」



彼の瞳からは涙が溢れていた。
彼から色々な気持ちが伝わってくる。

あぁ、彼を自由にしなきゃ。

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作者名:ふく | 作成日時:2022年8月10日 23時

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