【原神】月の命日 (ページ18)

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地面には彼女の血が落ちていた。
魈がのトドメを刺そうとした瞬間。
彼に向かって槍が飛んできた。その槍は彼にとっては見覚えがあり。

「てい…鍾離様？！」

「何をしている…魈。」

彼の視線の先に立っていた鍾離は、自分とは比べ物にならない程の殺気を放っていた。
魈はそんな鍾離を見て怯んでしまった。

鍾離は倒れている柊朔に駆け寄り、声をかける。
しかし反応は無い。

そして、ついには鍾離がキレたのだった。

「流石のお前でも許せない。」

「鍾離様、お待ちをっ！」

そんな修羅場に遅れてやってきた旅人とパイモン。
二人がこの光景を見て慌てる。

「ソイツは！……グレモリー様を殺した犯人なのですよ！グシオンなんですよ！！」

「なに？」

「実際この目で見てきました。グシオンを封印した場所の結界が薄くなってました。」

ここまで感情的な魈を旅人とパイモンは初めてみたのであった。
それと共に、グレモリーとグシオンは何者なのかという疑問も生まれた。

それを知った鍾離は驚き、構えていた槍を下ろした。

「ゔぅ……。」

「まだ息があるぞ！」

旅人とパイモンが駆け寄る。

鍾離はここで彼女を見殺しにするか、救うか…天秤にかけていた。
彼の選択は……“助ける”だった。

「血が酷いな。旅人、近くに水辺があるはずだ。水を汲んできてくれないか。なるべく早く頼む。」

「任せて。」

旅人とパイモンが駆けていく。
本当に頼んだ通り、彼女らはすぐに帰ってきて。

「私のハンカチも使って。」

「オイラのも！」

幸いなことに、血はすぐに止まってくれた。
小さな呼吸。

彼女はまだ生きている。

「回復が早くなる薬があるが、飲めるか。」

「……。」

「どう考えても無理だと思うぞ……。」

「やむを得ん。」

鍾離は自分でその薬を含み、水も含み…柊朔に口付けした。
その光景に驚いた旅人はパイモンの目を隠す。

本人は「なんだなんだ？！」と一応見えていなかったようだった。

(人前で口移しはどうかと思うな…先生……。)

薬を飲ませた後、落ち着いた彼女を鍾離は抱えた。

「魈。この件は一応は目をつぶる。グシオンを封印してるところを見張っといてくれ。」

「……御意。」

彼は素早く姿を消していった。

「戻ろう、旅人。」

鍾離達は璃月港へと戻っていった。