1話 ページ3
遡る事少し前の事。
自分は追われていた。
「待って、もう少しわかりやすい所からお願い」
『え？これ程わかりやすい説明他にない…』
「？？？」
「おい旅人、こいつ話通じないぞ…」
こそこそ、と会議の様なものを始める二人を見ながら天を仰いだ。ああ、神様、ありがとう…この二人の会話を聞く事が出来るなんて、自分は今死んでも良い…
目の前で「こいつやばい奴だろ！」「それは分かってるけど、どう言う風にやばいかによって何処に差し出すか決まるから…」「お、おまえ…」と言った心外過ぎる会話をしているのは、自分が毎日一日八時間はプレイしていたゲームの主人公である旅人とその仲間のパイモンである。
そのゲーム…名前は原神。原神では一番最初にプレイヤーが主人公を選ぶ事が出来る。選択肢は二つ。男か、女か。双子の兄か妹かを選ぶ事が出来る。ちなみに自分は女主人公を選んだ。
そして今目の前にいるのは、女主人公である、異世界の旅人…双子の妹・蛍ちゃんだ。
プレイヤーの皆さんはきっと旅人とパイモンの会話を聞いてはにこにこしていたのではないだろうか。この二人、お互いがお互いを好き過ぎて可愛いのだ。パイモンは常日頃旅人を気にしている上に旅人が「すごい」事を周りに自慢する様に言ってるし。旅人は愛ゆえにパイモンをいじる。これほど可愛い二人が他に居るか？
『何処に差し出すか、ですが個人的には西風騎士団が良いです…ここがモンドかどうかも分からないけど』
蛍「何で騎士団？自首？」
『何の？？？』
パイモン「お前絶対何がやばい事してるだろ！いけないクスリとか」
『おかしいなぁ、自分ヤク中って思われてます？心外過ぎて泣いた』
ヤク中に思われる様な事なんて言っていない筈なんだけど。そう思いつつ、蛍ちゃんとパイモンの後ろに居る人に視線を向けて直ぐに離した。
…はー、顔が良い。
「話は終わったか」
蛍「あ、ごめんなさい…まだ終わってないんです、ディルックさん」
ディルック「そうか。…急がなくて良い」
自分が思わず求愛して、意図せず「はあ？」と言わせてしまったのは彼である。
ディルック・ラグヴィンド、元西風騎士団、現在アカツキワイナリーの当主であるイケメンだ。
原神やってる人でこの人嫌いな人居る？いや居ない。
『え、まじで顔が良い好き結婚して…』
パイモン「やっぱりやばい奴だ！」
『酷いな？？？』
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作者名：ポマ | 作成日時：2022年8月29日 9時
