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- Hina Side -



「喜多見チーフ、音羽先生!腹腔内に出血が見られる患者さんで、緊急オペが必要です。ERカーへ戻ってください…!」



「無理です。手が離せない。」



「…こっちも。」



「…そんな!私には無理です!研修医なんですよ!?」



「比奈先生の意見なんてどうだっていい!あなた以外に、目の前の患者を救える人はいません。」



ああ、なんでこんな時に限ってA先生は居ないんだろう。思わず、そんな事を思ってしまう。



彼女は彼女なりに、自分の患者さんと向き合い、オペに挑んでいるというのに。



それでも臆病な私は、彼女の持つ力に縋ってしまう。私には無いその強さが、ただただ羨ましくて、他の何よりも輝いて見えてしまう。



「…オペ室へ運んでください。」



ようやく絞り出した言葉は、暗く淀んだ空気に浮かんで消えたようだった。







A先生も、こんな恐怖に打ち勝って、メスを握ってきたのだろうか。頭の片隅にそんなことを考えながら、準備をはじめる。



「…TO1、オープン。」



私の震えた声は、変に静まり返った車内に小さく響いた。



「…損傷している臓器の、開腹止血術をはじめます。」



「開腹したら、更に出血は増えますよ!?」



「…そうしないと助けられません!」



冬木先生の言葉を遮り、そう言った私に、メンバーは無言で頷く。



もう、目の前の患者と向き合うほか選択肢は残されていなかった。



「…メス。」



どうか、助かりますように。
それだけを願って私はメスを握った。







「…腸間膜だ。ペアン。」



「はい。」



ようやく見つけた出血箇所。血流を遮断し、出血が止まった瞬間、全員が安堵のため息を漏らした。



その時、モニターは異常な音を鳴らした。



「…!?血圧は?」



「65の48。」



「…下がってる!!!」



「…なんで?」



「別に…出血しているところがある…どこだ…。」



「バイタル58まで低下。下は測れません。」



自分の体温が、みるみる下がっていくのがわかった。逃げ出したくなるくらい、心臓が鳴っていた。



「…脾臓の外側を、電メスで後腹膜から切り離し、確認します。」



「見えてないのに脾臓いじって大丈夫っすか!?」



「…やるしかありません。」



私が決めた覚悟は、目の前の患者を救う覚悟 ではなく、 医師人生を絶たれるかもしれない、という覚悟 だった。



震える手で電メスを握りしめ、脾臓に触れようとした、その時だった。

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なーお - 続きがとても楽しみです!頑張ってください! (4月13日 15時) (レス) id: 6f6733fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
Ria(プロフ) - きゃー 続きが楽しみ楽しみ (11月26日 9時) (レス) @page14 id: b18326fb22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mi | 作成日時:2023年11月15日 2時

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