Good night Dear (ページ26)

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Episode 13. ページ26

-Your Side -

「「「それで？」」」

先日のガス処理場の事故から数日。
つい現場で話してしまった学生時代の呼び名と、親しげな口調によって音羽先生＿いや、尚と同級生であったことがメンバーに知られてしまった。

百歩譲って彼との関係が知られたところで特に支障はない。ただ、困るのは

私は以前遭った事故によって部分的に記憶を無くしてしまったこと。

今でも所々思い出せない部分があること。

そしてその事故にかなりのトラウマを抱いているという事である。

「A先生、経歴が特殊すぎるんッスよ！」

「そうデス！もうどうなってるのか分かりません！」

しかし、私の過去に興味津々のメンバーを今更止めることはできない。何度かメンバーをなだめようと助け舟を出してくれた喜多見先生も、もう為す術なしといった表情で肩をすくめていた。

「…話せば長くなるので、手短にお話しますね。」

ついに諦めた私は、しぶしぶ口を開いたのであった。

～

＿＿数年前

尚と同じ医大を卒業し、東京海浜病院の研修医となった私は、さまざまな科で研修を行いながら最終的に勤務する場所を見定めていた。

有難いことに比較的どこへ行っても歓迎される質だったため、環境としてはどこの科も申し分ない。だからこそ、私は医者を志した頃から頭の片隅にあった脳外科へ進もうと考えていた。

各科のドクターは、残念そうな顔をしつつも私の決断を後押しし、応援してくれた。