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石のように動かなかった私の体が、酷い景色を受け入れることを拒んでいた私の目が、解き放たれたかのように元に戻った。
私も、行かなくちゃ。
そう思った時には、無我夢中で足元のバッグを手に取り、喜多見先生の後を追った。
が、そんな私の腕を掴んだのは
「Aに行かせるわけにはいかない。」
「…ねえっ!なんで!!!!」
「俺はTOKYO MERのセカンドドクターだ。それに…
大事な友達をあんな現場に行かせる訳には行かないだろ。」
「…なんで。」
「何かがAをそうさせた理由だって、まだ聞いてないんだ。俺が、引きずり戻してくる。」
そう言って彼も建物の中へと姿を消した。
彼の確かな優しさは、失いかけていた記憶を取り戻させた。思い出したかったあたたかい思い出も、捨て去りたいくらいの苦しい想いも。
ねえ、待って___
声にならなかった、彼への言葉は宙へ消え、私はへなへなとその場に座り込んだ。
___大事な友達をあんな現場に行かせる訳には行かないだろ。
ねえ、思い出せない。大切な何かを。
私は本当にあなたの友達だったの?
もっと、思い出さなきゃいけない何かがある気がするのに。
苦しみに顔を歪める私の背中をさすってくれる夏梅さん。
今の私たちにできることは、2人のドクターと1人のレスキューの無事を祈ること、ただそれだけだった。
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なーお - 続きがとても楽しみです!頑張ってください! (4月13日 15時) (レス) id: 6f6733fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
Ria(プロフ) - きゃー 続きが楽しみ楽しみ (11月26日 9時) (レス) @page14 id: b18326fb22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mi | 作成日時:2023年11月15日 2時