Good night Dear (ページ22)

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Episode 11. ページ22

-Your Side -

「各隊長は、隊員の安全確認しろ。」

「了解。」

「＿＿千住から本部へ。ただ今爆発地点を確認中。」

建物に近づくと、戸惑うレスキューと、千住隊長の声が聞こえてくる。

「千住隊長！何があったんですか。」

「またガスに引火した。うちの隊員が中で生存者が居ないか最終確認をしていた。現在、根津という退院と連絡がとれない。」

「そんな…。」

思わず声を漏らす私たち。
だって、あと1人なのに。もう全員助かるのに。

「…行きましょう。」

「ダメだ！またいつ爆発するか分からない。」

中にいる根津さんを救うため、覚悟を決めたようにそう言った喜多見先生。必死で止める千住隊長。全員待機、と耳元でなる無線。

目の前の光景が歪んでいる。

そんな中、喜多見先生はレスキューや音羽先生の制止を振り切り医療バックを背負った。

「怪我をして苦しんでいる人が居ます。」

「…もう死んでいるかもしれない。」

「生きているなら、医者の力が必要です。」

顔を歪めてそう言うと、喜多見先生は走り出す。

「綺麗事ばかり言わないでください…！」

それを見た、普段冷静沈着な音羽先生が声を張り上げた。

「そりゃ、理想だけ追いかけていられれば最高ですよ。だけど、現実はそんなに甘くない。諦めることも必要なんじゃないですか。」

ゆっくりと振り向く喜多見先生は、少し頼りない笑顔を浮かべていた。

「俺は諦めたくない。諦めざるをえなかった人の気持ちを、諦める判断を下すしか選択肢がなかった医者の気持ちを知っているから。」

そう言った喜多見先生と目が合った。

「少しでも可能性があるのなら、救うという選択肢が残されているのなら、俺は行きます。」

彼は私と目を合わせたまま、口角をあげ再び建物の中へと走っていった。