Good night Dear (ページ11)

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Episode 5. ページ11

- Otowa Side -

初出動から、一夜。
MERのミーティングのためにスタッフルームを訪れる。

「音羽先生、おはようございます。」

メンバーからの挨拶に応え、部屋の片隅で筋肉トレーニングに精を出すチーフドクターに目を向ける。

「何をしてるんですか？」

「体幹です。体幹トレーニング。一緒に汗流しますか？」

「いらないですよね。医者にそこまでの筋力は。」

「いりますよ。MERの医者には。」

「…ミーティングの時間です。」

呆れた音羽が放った一声で、メンバーが一斉に席に着いた。

「第1回出動に関して、私なりにレポートにまとめてみました。問題点や関係機関の反応を例記してあります。…ミンさんには、英語で作ってあります。」

「わぁ…ありがとうございます！」

「音羽先生が感じた問題点は、医師が危険を顧みずに医療行為をしていたこと…ですか。」

資料を見ながら、弦巻先生が呟く。

「ええ、その点は関係機関も指摘しています。東京消防庁、警視庁、日本医師会、厚生労働省医政局をはじめ、被害拡大のリスクがあったと批判。結論として関係機関は、MERの活動はリスクやデメリットが大きく、今後は活動内容を縮小して制限するか、組織自体を解体するべきだと判断しています。」

「えっ！！！！！？」

「いやいや、でもまだはじまったばかりですし、いきなり解体っていうのはないですよね？」

冬木先生の言葉に、ほかのメンバーも頷く。

「いえ、MERはまだ実験運用期間です。その実験が失敗だったと判断されれば、この組織は速やかに解体されます。」

「…でも！世間の反応はいいんですよね！？」

「いえ、そうでもありません。バス内の乗客より、居眠り運転で業務上過失致死傷罪で立件される見通しである、トラック運転手の治療を優先したMERに、多くの批判の声があがっています。」

「…だから言ったじゃないですか。あとまわしにしましょうって。」

一気に表情が曇るメンバー、その端で呆れたように小さく呟く弦巻先生。