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195_works ページ45

*




黄『珍しいな』

「あ、はい」




私の横に立ち、缶コーヒーを開ける。




黄『飲まへんの?』




私の手の中にある缶コーヒーを見て
中間さんが不思議そうに言った。




「あ、いや、飲みます」




プルタブを起こして
ゆっくりと倒す。




「…」




なんとなく口をつけないまま、
また缶をぎゅっと握った。




黄『今日あったかいなぁ?』

「…ですね、気持ちいい」

黄『ジャケット着てんの暑くて
脱いでもうたわ(笑)』




ハハッと笑う中間さんは
くるっと体を反転させ、
柵にもたれるようにして立った。




黄『何悩んでんのかわからんけどさ、』




悩んでる、なんて言ってないのに
中間さんは察しがいい人やな。




黄『答えなんかいくらでもある思うで。
立ち止まって考えるのも大事やけど、
進みたいんやったら進むべきやしな?』

「…はい」

黄『それに自分が気づいてないだけで
案外もう、答え出てたりするんちゃう?』




中間さんはニコッと笑い、
缶コーヒーを飲んだ。




「…私、考えすぎなんですかね」

黄『歳取るにつれて色々考えてまうよな。
悪い事ではないと思うけど、
それがたまに自分に嘘ついちゃう事もあるやん。
自分に正直になってあげな、
自分がかわいそうやで?』




ぽんっと私の肩に手を置き、
中間さんは続けた。




黄『それにさ、Aちゃんは
笑ってる方が可愛いんやから』




そう言って私の眉間に指を当て
ぐいっと伸ばした。




「ちょ、やめてください(笑)」

黄『ほら、笑ってる方がええわ(笑)』




なんだか可笑しくて自然と笑顔になった。




「…ありがとうございます。
なんかスッキリしました。私、戻りますね!」

黄『おう、またな』




屋上をあとにし、エレベーターに乗る。




なんとなくもやっとしていた感情を
コーヒーと一緒に流し込んだ。




「よっし、」




自販機の横のゴミ箱に缶を捨て、
総務部のドアを開けた。




・・・




黄『ほんま、手のかかる奴ばっかりやな(笑)』

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N(プロフ) - たぁ。さん» ありがとうございます!嬉しいです(;;)多分まだまだ続きますが…(笑)飽きずに見て頂けるよう頑張ります(^_^) (2020年5月5日 15時) (レス) id: 23aa829248 (このIDを非表示/違反報告)
たぁ。 - ほんまこの作品好きですッ…続きめちゃめちゃ楽しみです!更新これからも頑張ってください〜! (2020年5月5日 3時) (レス) id: fbab9a6160 (このIDを非表示/違反報告)
N(プロフ) - ノンタンさん» ありがとうございます!過去1だなんて…嬉しすぎます(T-T)妄想の捌け口と化してる部分も多々ありますが、これからも面白く書けるよう頑張ります!今後ともよろしくお願いします! (2020年5月2日 14時) (レス) id: 23aa829248 (このIDを非表示/違反報告)
ノンタン - いつも楽しく拝見させて頂いています!過去1番大好きなお話です!更新大変かと思いますが、これからも楽しみにしています! (2020年5月2日 8時) (レス) id: ab1b408dc0 (このIDを非表示/違反報告)
N子(プロフ) - eriさん» こちらこそありがとうございます!生きがいだなんて…感謝です(;;)拙い文章ですがこれからもよろしくお願いします! (2020年5月2日 5時) (レス) id: ea08214087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:N子 | 作成日時:2020年4月30日 21時

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