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_ 性格〜 ページ2



それが、一般の人間の心理。
そういったことと仮定して考えれば、この彼だって何ら違うことはない。

前述の、彼による“ナルシシズム”。ご明察の通り、それは言葉そのままに彼から彼へ恋愛感情の矢印が向かっていることを表すもの。
かのナルキッソスの名を冠す特性を持ち合わせるだけあって、本格的に彼は自分に盲目である。

初めはそれこそ無意識下での自己防衛の一環でもあったであろうが、今となっては彼の気持ちは本気(まぢ)本当(がち)。強すぎて最早他人に罵られてもびくともしないレベルにまで育て上げられてしまっている。

というより、寧ろ他人に貶されること……厳密には他人からの不理解を賞賛よりも倍強く望む。
世間のイメージするナルシストの人物像からは幾ばくかかけ離れているが、彼は紛れもなく本物のナルシスト。いくら想像と形が違えど、それ以外の単語で表すなどは言語道断、彼如きにその他の言葉が与えられるなど烏滸がましいにも程がある。

彼の魅力というのは、彼によればバカでアホで年がら年中パーリナイな一般ピーポーに簡単に理解できるような代物ではなく、人類の中で唯一それを素晴らしいと感じることができる者が居るとすれば、自身ただ一人なのだという。
また、もし仮に他者一人からでも理解を示された場合。彼を理解することができる人間が、この世になんと二人も存在してしまう。たった一人に好かれるだけで、本来唯一無二な筈の自身の、他者の絶対に持ち得ない要素、という項目が一つ減るのだ。
他人が持たないものを持っているからこその自分なのに、その大前提が崩されてしまっては元も子もない。し、何より自分をそうして間接的に貶めてくる理解者がどうにも憎い。理解者を名乗りながら、この自分を侮辱しようとは。ああ、こんな無神経な輩に理解されてしまうなんて、全く何たる失態。
次第にそういった思考が渦巻き始め、止まらなくなるようだ。

故に、他者が軽々しく彼を解ったような口を利き、凄い凄いと紙一枚にも厚さの満たない声援を投げつけてくる、そんな状況は彼にとってとんでもない苦痛に他ならない。
分かりやすいかもしれない例を挙げるとすれば、「おれこの曲本気でめっちゃ好きなんだ。だからまともに聞きもしない奴に軽々しく好きとか言ってほしくない」
「あ〜うちもすきうちもすき!この前五秒だけ聞いた〜」
こんなやり取りのときに前者が抱える苛立ちと似たようなものだ。
その為、こんなザルな理解を示されるなんかよりも、嫌われた方が嬉しいのだそうだ。



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褪紅(プロフ) - 確認しました!特に不備等見当たりませんでしたので、受け取らせていただきます。なるほど、これぞ新しいナルシズムですね……(?)ヘルプの際は何卒よろしくお願いします……関係組み・派生作品作成等お進みください! (2022年8月13日 20時) (レス) @page6 id: dacdd01a78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲楓(れいふう) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年8月13日 19時

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