＿ lens

今日:20 hit、昨日:6 hit、合計:9,699 hit

水面ページ29

「無理にじゃなくて、轟君のタイミングで」

「今のじゃ催促してる様に見えるけど？」
「伝わってないかもだし」
「それだけ？」

「ちがう」

息を飲む、鼓動が鳴る、夏は嫌い

「多分焦ってんだ私、友達になりたくて」「友達になる事に焦る必要なんてないのにさ、でも」

「でも？」

「轟くんなんにも変わんないから」

へらりと笑って頭を掻く、一旦落ち着きたくて自分の気持ちを行動で誤魔化してどんな顔しているんだろう、轟くん

「俺さ、」

「友達とか要らないから、よくわからない」

以心伝心と言うモノだろうか、轟くんがこちらの顔を覗くと同時に私も顔を向けた、目が合った

「うん、知ってるし。なんなら正直轟くんの中身って結構苦手なんだよね、他人がヒーローの話をすれば見下す所とか。」

「そりゃそうだ俺は本気でno.1を越えんだ。っ＿＿＿

その為に早くおと」

「夢半ばで色んな事情で断念する人もいるし、それよりもとにかく！いつどこで私がヒーローになりたいと言いました？」

今までの不満が出ていく、つい熱くなる

「他人に私が含まれてるのは嫌だけど、でもそういう馬鹿にしてる所も嫌」

「じゃあなんでわざわざ絡んでくるんだよ」

苛立ちの籠った声で言われる。眉間を寄せていていかにも怒っている。私も負けない様怒りで気を張る

「そういう嫌いな所も今では好きだから、ソレを含めて好きで今でも友達になりたいって思ってんだ」

「知るかよ！」
「知ってよ！」

グルル、と両者の背後に睨み合う猛獣

「つーか憧れてるって」
「それは轟くん自体が凄い人だと思ってたの、違う世界にいる感じで“私”に不満は無いけど羨ましくて！」

「どうせ俺の事知らない癖に！」
「だから知ろうとしてる！上っ面の仲は嫌だし怖いし！だから、私を知って欲しい」

「それに、今は小学生の頃よりいっぱい知ってる。性格なんかあの頃の想像とは全然違うし、家庭の事！色々複雑でめんどくさそう」

「なんで家の事、…」

再び何も喋らず二人歩き始める
私には気まずい空気、それでも轟くんは口を開いてくれた

「どんだけ俺の顔好きなんだよ」
「苦手な所含めて好きになるくらい」

「それと優しいトコも知ってるし」

なんだか自分で言ってて照れてきた。頬が熱くなる、さっきから普段よりも本音を出して人の目を気にしなかった私、恥ずかしい恥ずかし過ぎる

だけど轟くんの一言で頬の熱は分散する

「嘘つくなよ」
「嘘ジャないよ」

　