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br視点
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彼に続き店を出る、まだ深夜には届かない時間帯…人通りはある
彼がしたい内緒話ができる環境ではなかった
それを見て建物の隙間に行こうと指差す男に、悪戯しすぎたかなと緩む頬を律する
ここの夜の活況さを知らない彼はきっと最近上京してきたんだろう
「聞いたよ〜、イーラから来たんだって？良いところじゃないか」
「…」
「北の要所イーラ、田舎だとは聞いてたけど生口制度がまだ生きてるとはね…最近そう言うの厳しいから連れてここら辺歩くのはやめといたほうがいいよ」
「…ご忠告どうも、だが生憎アイツは生口じゃない」
「文字の読み書きができないのに？あの子は最低限度の教育を受けていない」
「…正確には『元』だ、今は違う。友人兼従者として旅を共にしてる」
「ふ〜ん」
素性を隠すために覆っているローブの下は端正な顔が覗いている
仕立ての良い衣服を隠していても、『一定の人間』が可視化できる魔力鑑定には敵わない
目の前の彼の中に、かなり質の良い魔力が通っているのがわかる…量はないが
基本、良い魔力には良い血筋が要る
良い血筋というのは大抵貴族だ
だからまぁ、ご子息様とその肉壁だと思ったんだけど…
言葉がストレート過ぎたかな？
僕の視線から逃げるように居心地悪そうな視線が石畳の地面を見る
「アイツはいま勉強中だ。読み書きでないことは悟られないように善処する。これで良いか？元はそうだとしても友人が勘違いされるのは遺憾だ」
「わかったわかった。僕はお節介で忠告しただけ、表面上は綺麗な身なりしてるし1人にしなければそうそうバレないんじゃない？」
「今回は助かった、礼を言う」
「うんうん、じゃあお代はよろしくね？バイバーイ」
ご馳走様〜と彼を背中に手をひらひらさせても静止する声は特にかからなかった
やっぱりお金はありそう
また奢ってもらおっかなぁ
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作者名：燕
| 作成日時：2024年3月5日 15時
