_ ページ2
メニュー表と思われる冊子をぺらぺらとめくる
どれも文字と値段だけ、大衆食堂らしく膨大な種類があった
何も頼まない訳には行かないので取り敢えずシーザーさんにならってビールを１つ頼む
客は体格のいい人が多いのかテーブルも椅子も大きく、足の爪先は地面に届かない。ぐるりと周りを見ると冒険者たちが多かった
武器をそれぞれの席の近くに立てかけ、今後のことから世間話までいろいろが断片的に耳に入ってくる
時たま子供や線の細い男女がいる、魔法使いとか、雑用係とか、そこらへんなのかな
「へいおまち、」
どこ、と大きなジョッキが置かれる
同時に横のテーブルでも同じ音がしたが視線はジョッキに釘付けだった
なみなみに注がれたビールは想像の1.5倍の量がある……不覚、もしかして物量すべて冒険者向け？
シーザーさんに声をかけられ一緒に乾杯した後、恐る恐る一口つけた
実はビールなんて初めてで
ぐびりと飲んだ後顔がくしゃくしゃになる
「…にがい…」
「ごはん頼まないの？」
眉間に皺を寄せながら唇の上にある泡を舌でぺろりと拭っていると上から声が降ってきた
どこか間伸びした声と柔らかい表情の青年がいつの間にか音もたてずに佇んでいる
「ここ座るね〜おじゃましま〜す」
こちらからの返答を1ミリも聞かずに目の前の椅子に座る彼、かなりのマイペースだが何故か不快感はなかった
「相席ですまねぇな…コイツはブルーク、悪いやつじゃねえから一緒に飯食ってくれ」
後から来たスキンヘッドさんが説明を補足してくれる
確かにテーブルは4人用でまだ席に空きはあるし、自分も譲ってもらった立場上文句はない
小さく頷くとスキンヘッドさんは注文を取りに消えていき、目の前の彼はへにゃりと笑ってくれた
「ところでお嬢さん、お名前伺っても？」
「…Aです」
「オッケー、Aちゃんよろしくね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：燕
| 作成日時：2024年3月5日 15時
