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「も〜にっぶいなぁ
早く手を出してってンの!」
「…」
彼女は早くと手を振りながら催促をする
それに彼は戸惑いながらも手を出した
なんてことないただの握手
けれど少年にとってその行為はもはや脅威でしか無かった。
…また、壊しちまう
そう思いながらも、彼女のまっすぐな瞳に
吸い寄せられるように手が勝手に動いていく
ギュッ──────
「わっ、見かけによらず温かいのね!」
少年は顫動した
自分に触れられる者はいないと思っていた
人は愚か、あらゆる攻撃をも跳ね返す
そんな自分が人に触れてもらえるというのが
どれほど衝撃で感激であったか
少女はわかるはずもない
「?…どうしたの?」
「っ、ふっ…はっ…ぅ…ぐすっ、」
人とはなんて温かいんだろうか。
彼女はまるでヒーローだ
かつて幼いながら憧れたヒーローのような存在
「もー泣かないで?大丈夫だよ」
「ぅ…ぐっ、ぐすっ…」
ありがとう、とは言えなかった
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作者名:弦一郎 | 作成日時:2019年7月11日 20時