【新旧双黒】誘惑だらけな同棲生活をどうぞ【短編集】 (ページ13)

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中島.ヤキモチ※月輝様リクエストby夜桜夢ページ13

敦が珍しく、雑誌なんかを読んでいた。

隣のソファに腰掛け、覗き込むとグルメツアーの頁を見ている。

「珍しいね、敦。どうしたの？」

「えっ、あ、Aちゃん！？」

……私が隣に来た事にも気付いてなかったらしい。
恋人としては少々不満である。

反対に敦は少し照れながら嬉しそうに笑った。

「鏡花ちゃんがお菓子食べに行きたいって云ってたから」

「………………っ」

まただ。

最近の敦はずっと鏡花ちゃんの話ばかりしている。

鏡花ちゃん鏡花ちゃん鏡花ちゃん＿＿

私の事なんて全然見てくれもしない。

「今度非番の日に行ける所を探してたんだ」

「………敦は、さ」

悔しくてじんわりと瞳が潤む。

もう私は彼女より魅力がないと判断されたのだろうか。
ならそう云えば善い。

苦しいだけだから。

「本当に………私の事、どう思ってるの？」

「え、Aちゃん………？」

情けない、莫迦みたいだと思う。

こんな事訊いたって敦を困らせるだけなのに。

「どうしたの……？僕、何か」

「もう別れたいの！！鏡花ちゃんが好きならそう云えば善いじゃない！！」

ぽろぽろと涙が溢れる。
悔しくて悔しくて、彼をキッと睨みつけた。

「敦はずっと鏡花ちゃんしか見てない！

そんな……そんなに鏡花ちゃんが好きなら、もうあっちに行けば善いじゃない……！！

ここから、居なく、なってよ………」

「………………っ！！」

こんな思いするくらいなら別れた方がましだ。

一人で涙を拭っていると、視界が真っ白に染まった。

「ごめん、ごめんねAちゃん」

耳元で敦の声が響く。

「Aちゃんがそんな思いしてるなんて、気付かなかったんだ。ごめん……辛い思いさせちゃって」

「………っ」

抱き締められた体勢のまま、敦の顔を見た。

本当に申し訳なさそうに見てくるその瞳が、矢っ張りどうしようもなく愛おしくて。

私こそ謝らなければと口を開いた。

「………敦………んんっ」

一瞬、唇に熱い感触。

敦らしい優しいキスだった。

唇を離すと、敦はどこか恥ずかしそうに＿
でも真剣な表情で私を見つめた。

「でも、僕が本当に好きなのは
Aちゃんだけだから＿＿＿」

＿＿＿これからも一緒が善いな

「………っ」

断れなかった私は、相当敦に惚れ込んでいるようです。