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〜 side ロンジュン 〜
俺達全員に芸名が決められて、上からの指示であまり公共の場では本名を出さないで欲しいと言われた。その中でも1番強く注意されてたのがあの馬鹿だ。
"本名を出せば女だとバレる。絶対に出さないでくれよ"
そう言われればAはその圧に負ける事なく "はいっ！" っと笑顔で答えるんだ。
RJ「帰んぞ」
「ん〜…」
RJ「んだよ、早くしろ」
「あ、ごめん」
のんびりとしている彼女には更に上からの指示が下された。昨日と目線が違うのはその影響もある。
・常にインソールの入った靴を履く
・女口調はなるべく使わない
・トイレも男トイレに入る
・シャワーはなるべく宿舎で浴びる
それ以外にも色々なルールが書かれたファイルを渡されていたけれど、知っているのは彼女だけだ。
「ロンジュナ？」
荷物をまとめて来たAは不安そうに俺の顔を覗き込む。そんな彼女の顔にかかった髪を退けてやれば首を傾げて見つめて来るからズルい。本当に猫みたいだ。
「汗臭いよ？僕」
RJ「いや、全然臭くない」
「ロンジュナ甘えん坊だね」
RJ「普段甘えて来る奴が何言ってんだよ」
「誰も甘えてない」
少し低い位置にある頭を撫でれば、喉を鳴らして甘える猫みたいに嬉しそうにクスクス笑うから俺まで嬉しくなるけど…こんな事すら人前で出来なくなるんだもんな…。
RJ「お前さ…ご両親とかはこの事知ってんのか？」
「あぁ僕…」
ゆっくり顔を上げたAの目は涙を溜めてる訳でも無く、本当に無表情のまま俺の質問に答えた。
「親は居ないんだ」
そう言って笑うこいつを見て後悔した。
聞くんじゃなかった。何で聞いたんだよ馬鹿。
少し前の自分を責めながらAの手を握れば練習室から出た。
「ロンジュナ」
RJ「ん？」
「今度中国語教えて」
RJ「何で？」
「ロンジュナと中国語で話したい」
あぁ俺
こいつと出会えて良かった。
その笑顔の裏に何を隠しているのか、まだまだ子供な俺には計り知れないけど、この手は決して離したくないんだ。いや、離さない。
離さないって君に約束する。
帰り道に本屋に寄ればAにも分かりやすそうな教材を1冊買って、2人並んで宿舎に向かった。
この3週間くらいで気付かされたのは、こいつが本当に馬鹿だって事だった。
JM「A数学出来る？」
「当たり前」
HC「3+17は？」
「……」
コンコンズ「「…嘘だろ」」
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作者名：heram | 作成日時：2019年3月19日 9時
