裸足のシンデレラ (ページ29)

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攻防戦ページ29

～ side ジャニー～

急に皆の撮影やら練習やら、まぁ普通に出かけた奴等も居るけど…本当に急に朝テヨナから起こされた第一声で俺は頭を悩ませた。

"今日はAとヨンホだけ宿舎だから、2人でご飯とかも何とかしてね。あっ…あの子にご飯食べさせてね、監視してね"

もはやテヨナは自分が監視してる事に自覚があったのかどうかは分からないけど、妹と2人きりと言う宿舎…2人きりなんてって思うかも知れないけど実は俺は2人でAと話した事がない。嫌いじゃないし嫌われてる感じもしないけど、2人共お互いに当たり障りなく過ごす事も出来るからか無意識にそうしていた。

「あれ、ジャニヒョンおはよ」

JY「おはよ、良く眠れたみたいだね」

「うん…皆居ないの？」

JY「うん、俺達2人だけ…2人きりだよ」

「……」

俺のセリフにいつもなら青白い肌が急激なスピードで赤く染まった。

JY「えっどうしたの」

「や…ヒョンが言うとちょっと緊張するから」

JY「意識しちゃったんだ？」

「意識…？」

おお、これが皆の言う野良猫を手懐ける感覚か。
まぁ未成年の女の子、増してや妹に変に意識されて距離を置かれてるのも困るので "何でもないよ" って笑いながら柔らかい癖っ毛を撫でてやる。
あれ、この子しっかりここに居るんだ。なんて不思議な言葉が浮かんだ。

多分同じグループに居て話していてもどことなく距離感をお互いに保って居たからだと思う。実際に2人で話してみると、おっとりしながら周りの事を把握して埋めていく策士だった。

食べたい食べたい…いや、まだ我慢。
真っ赤に熟れてクラクラする匂いと舌に乗せたら吐き気のするほどの甘味な蜜が滑り落ちたらだよ。
腐りかけが1番頃合い、丁度良いよ。
食べたいけれど、まだお預け。
まだ我慢…あと少し、あとすこし、アトスコシ…

こんな感情を知らない訳じゃない俺は、俺の中で出て来そうな、この悪い兄で悪い大人な俺を飲み込んだ。

あぁ、不味い。

俺こそ策士だろ、なんて自分でツッコミを入れながら深呼吸をすると朝食をチビチビと時間をかけて食べるAは頭の上にハテナマークを引き出すように首を傾げて俺を見る。

ダメだよ、俺は良い大人で良い男で良い兄で居られなくなる自信しかないんだ。

JY「今日はのんびりする？」

「スポーツしたいです」

JY「得意なスポーツあるの？」

「んー…最近あれ、あの…」

JY「頑張って思い出して」

頼むから良い兄で居させてくれ。

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