空気人形 ページ27
〜 side ヘチャン 〜
Uとほぼ同時に動いていた127の練習中、Aは何かと講師に聞いては手足の動かし方や皆との合わせ方を教えて貰っていて、帰りのバンの中ではいつも俺の肩に寄りかかって眠っていた。
YT「最近A、ヘチャニにも甘えるようになったなぁ」
MK「疲れてるからですよ」
TL「マクはヤキモチ妬いてるのかな？」
TY「ヒョン…おじちゃんみたいな煽りですよ…」
HC「マクヒョンの事も構ってあげるから待ってて下さい」
MK「順番待ちしてないから！」
YT「ツッコむ所が最高にズレてんねん」
確かにここ最近Aがジェノやジェミン達と会わない時間が多い所為か俺に甘えるようになった。元から少しスキンシップが激しかった俺達を見て自然と同じ行動を取るようになったA。多分まだ俺もAも幼いから許される事だろうけど、もう少し成長したら一緒に寝れなくなって、宿舎も別になるかも知れない。
そう考えると寂しくて、いま隣に居て俺に寄りかかってくれている事が凄く有り難くて嬉しくもなった。
HC「起きろ〜」
「ん〜〜…え、着いたの」
HC「俺におぶられてる事に関しての驚きゼロか」
「わわ、ゴメン。重いよね」
HC「寧ろもっと食べてくんない？」
ホント、この骨張った身体を気にして欲しいよ…ったく。何で俺がこんな気持ちにならなきゃいけないんだよ。何でこいつはこんなに平然と笑って居られるんだよ。なんて悪態を吐きたくなる。でもそれはAに対してじゃなく世間に対しての悪態だと俺自身も自覚している。
HC「…あと10日だな」
「緊張してる？」
HC「デビューステージで緊張しない奴居る？」
「確かに」
そう言って笑うAも説明を受けている最中やファンのコメントを読んだ後は震えて泣きそうな顔をして居た。もう泣かないなんて言っていたけれど、そんなに我慢しなくて良いのに。
「ヘチャニ」
HC「ん？」
「んーん、ただありがとうって言いたくて」
HC「んだよ、急に」
「気まぐれ」
HC「…今日はどこで寝るんだよ」
「え？いつものベッドでしょ？」
HC「……ったく、本当馬鹿」
一緒に寝ようって意味で遠回しに誘ってもこの調子だ。本当に何も知らない赤ちゃんで困る。
「ヘチャニの部屋だよ、ここ」
HC「良いの、今日はここで」
「うん？分かった…？」
HC「何で疑問形なんだよ」
馬鹿と言うかAの純粋さに笑いながら同じベッドに入ればまたその小さな身体を抱き締めた。
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作者名：heram | 作成日時：2019年3月19日 9時
