好きとか嫌いとかの話 (ページ10)

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嫌い　10 ページ10

夏油side

『傑その顔…』

「なんだい？」

『さては電話…ラブコールの相手は愛しの五条？』

「うん、悟だよ。愛しくはないかな」

電話を切れば布団の上でゴロゴロしながら話しかけてくるAに向き直る。
制服は女将さんにAが交渉したらしく、どうやら明日の昼までには乾かしてくれるみたいだ。

人タラシも程々にしなさい、なんて言えば首を傾げるからやっぱり可愛い。

「眠いのかい？」

『んー…身体は眠いみたい』

「枕投げは無しかぁ、残念だな」

『傑そんなに枕投げしたかったの』

「嘘だよ」

『サラッと嘘付く～』

きっと任務後に雨に打たれて疲れてるんだろう、現に今も意識だけは起きている状態だろうし…って、オイ。

「A浴衣を着直して」

『んー』

「聞いてるのかい？」

『んーー』

「A…？」

空返事の彼女に近付いてその額に手を当てれば思わず手をすぐに離した。
熱い、物凄く熱い…人が出せる熱を越えている気がする

「A、大丈夫か」

『…んー』

彼女から1度離れてタオルを濡らせば汗をかいた首元に当てて拭き、フロントに繋がる電話にかければ女将さんがアイス枕などを持って来てくれるようだ。

いつもなら2人きりの空間で彼女の白い首元が見えていれば噛み付いて食べたくなるだろう。
私のオレも反応しかけていたが、それより彼女の体温を下げる事が最優先で私は柄にもなく焦った。

「A、私の声が聞こえるかい？」

『…すぐぅ』

「！？……はぁ…そうだよ、傑だよ」

『ごめ、なさぃ』

彼女の頭の下にタオルで巻いたアイス枕を置いてやれば、すぐに蒸気のような煙が立つから慌てる。

っというか赤い顔で私の名前を呼ばないでくれ
可愛過ぎるよ？全く…罪な女だね、女…だよね？

「ん、もう熱は下がったみたいだね」

『傑…迷惑かけて、ごめんなさい』

「迷惑なんかじゃないよ」

『雨の所為で…体温維持が難しかったみたい』

すぐに平熱に戻った彼女に安心したのも束の間、今度は"寒い"と言い始める彼女の頬に触れれば冷たい水のようだった。

「…今から私がする事、嫌だったら跳ね除けてくれ」

『え？』

戸惑う彼女を自分の胸に抱き寄せるとその上から布団を羽織った。
自分の心臓の音が彼女に聞こえてしまっているようで落ち着かない。

『傑ドキドキしてる』

「思っても口に出さないでくれ」

『可愛い』

「コラ」

『…落ち着く』

そう言って擦り寄る彼女に更に心臓がうるさくなる。

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