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嫌い 8 ページ8

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『ねぇ傑』


旅館で案内された部屋に入ってから思ってた違和感に気付いて傑を見上げれば、いつも通りの笑顔で首を傾げられた。


『一部屋しか取れなかったの?』

「そうだよ」

『ふーん』

「私と同室は嫌だったかい?」

『全然!枕投げしようね!』

「(馬鹿で良かった)」


まぁ傑が言うんだから本当なんだろう!←

濡れた制服を脱ごうとすればまた怒られた、解せぬ←


「この時間だと温泉はお湯を抜いているみたいだし…部屋に付いてるお風呂に入って来てから浴衣に着替えなさい」

『それなら傑、先に入って良いよ』

「それなら一緒に入るかい?」

『それなら返し!?』

「私は別にAと入っても良いんだけどね」


普段より黒い微笑みで近付いて来る傑の体格の良さに改めて焦りながら後退すれば背中に壁が当たる。
ヤベェ、お母さん怒らせちゃった…なんて思ってた私に壁ドンしないで貰えますか?
コワイデス、
とてもコワ「Aは困るよね、彼氏が居るんだから」

………ン…?


『え、もっかい言って?』

「君には彼氏が居るんだろう?」


思わず怖さを忘れて傑の顔を見れば笑顔は消えて、ちょっと怖い真顔で聞かれた。

え?てか私に彼氏?かれし?カレシ?


『ボーイフレンド?』

「うん、あー因みに恋人って意味だからね」

『え、居るの?』

「何で私を指差すんだ…」

『傑に彼氏が居るのかと…』

「君に聞いてるんだよ、A」

『え、居ませんが?』

「……はぁ」


何故か間を空けてから盛大な溜め息を吐いた傑に脱衣所に投げ込まれた私は未だに理解が追い付かない。
これぞまさに情報が完結しない!!(キメ顔)

まぁ体温維持が難しい体質だし傑も身体冷えちゃうから取り敢えず温まるかぁ。

.
.

「やっぱり硝子の悪ふざけだったのか…」


扉の向こうで恋焦がれる子がシャワーを浴びる水音を聞きながら畳に座れば力が抜けた。

……待てよ?

悟はまだAに恋人が居ると勘違いしているわけで

つまり私の方が先攻出来るのでは?


「ほほう…」


馬鹿なAの事だ、硝子に言われるがままに口に出して居たんだろう。
考えてみれば彼女自身、ハッキリと恋人が居るとは言って居なかったし…


.
.


『傑〜お待たせ!』

「髪を乾かしなさい」

『傑は身体を温めて来なさい』

「ふふ、行って来るね」


…………何でナチュラルに上半身裸で座ってたんだ?


『てか何か…かっこよかった』


あー、顔あっつ!

.
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「聞こえてるだよなぁ…」

.

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作者名:heram | 作成日時:2021年3月4日 23時

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