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嘘でしょ? と心の中で問いかけたけど、聞こえてくるのは紛れもない太一の声で。

太一は完全に私が寝てるって思っているみたいで。




「白布もメガネないAのこと可愛いって言うからさぁ」




布団の中で、ぎゅっと拳を握った。

寝顔を保つのに必死だった。



「――メガネはずしたAも可愛いって、俺だけが知ってればいい、って思った」



なんだこれ、今すぐにでも爆発しそうだ。

体温がどんどん上がる心地がする。

ドキドキと鳴り出す心臓に、えぇい鎮まれと念を送っても無駄だった。



「……って、何言ってんだろなぁ俺」



太一の手が、私の頬を撫ぜた。

あぁ待って、今触れられたら体温が伝わってしまいそう。



それならいっそ起きてしまいたい、のに、



「……寝てる、よな? これで起きてたら俺消えたいんだけど」



ためらいがちに掛けられた声に、どうしようもなかった。


動揺を隠して規則正しい寝息を立てる私ももう限界で、でも今更起きてましたなんて言えない、よね。




「あー好き。Aのことほんと好き……なんちゃって、な」




あっ待ってもうダメ、彼は気が狂ってしまったのだろうか!

もう、耐えられなかった。




ちょっと身じろぎをしたら、うぉ、と太一の慌てた声が聞こえてくる。

勇気を出して、――私の頬にある、太一の大きな手を両手でそっと握った。




「ッはあ!?」




太一の頓狂な声が、2人きりの保健室に響く。

恐る恐る目を開けると、太一は真っ赤な顔をして私を見ていた。



「もしかしなくても、お前、」

「……起きて、た」



彼の手を握る両手にぎゅっと力を込めた。

それだけでさらに熱を帯びる頬に、きっと私の顔も太一と同じくらいに真っ赤になってるんだろうというのはわかった。



「太一、今の」

「……忘れろ、全部!」



太一は握られていない方の手で顔を覆った。

耳まで赤い彼に胸がキュンと音を立てて、私も好きだなあって思う。




――いや、思ってるだけじゃダメだ。




身を起こして、ベッドの上に座り、太一の方へ向き直る。

つないだ手に力を込めて、大きく息を吸って。



「……やだ。忘れない」

「えっ、」




戸惑いを帯びた彼の声も、私の心音でかき消えてしまいそうなくらいドキドキしている。



「――私も、太一好きなの、」



「は、……は?」





"うそだろ"、って、太一の唇が動く。




それは、声にならない声だった。

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設定タグ:ハイキュー , 川西太一 , 白鳥沢   
作品ジャンル:恋愛
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びす(プロフ) - コンタクト強いですね……(^ω^)メガネェ… (2018年9月18日 23時) (レス) id: cb6d1b30b9 (このIDを非表示/違反報告)
有紗(プロフ) - 私もヒロインちゃんと同じで、宇宙柄が好きなので、共通点があって、少し舞い上がってしまいましたw (2018年2月12日 16時) (レス) id: 75977457a6 (このIDを非表示/違反報告)
文野ゆかり(プロフ) - 前までどうも思っていなかった太一を、この小説を読んで好きになりました!夢主ちゃんが左胸に太一の手を当てたとき、太一が「……D、」と言ったときは吹きましたwwwwというか、2話に一度は笑ってましたwwwww めっちゃキュンキュンしました!!! (2017年5月6日 17時) (レス) id: 5d1d269320 (このIDを非表示/違反報告)
てふ子(プロフ) - うぃらんさん» お返事遅くなってすみません!太一くんかっこいいですよね……ニヤニヤしていただけたみたいで嬉しいです(笑)応援励みになります!続編出したのでよかったらよろしくお願いします!! (2017年3月5日 0時) (レス) id: a584b5f4ae (このIDを非表示/違反報告)
てふ子(プロフ) - ナギさん» お返事遅くなってすみません!告白シーンは私もどうしようかと練りに練ったのでそういっていただけてとても嬉しいです!コメントありがとうございました! (2017年3月5日 0時) (レス) id: a584b5f4ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな x他1人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pp__synd  
作成日時:2016年12月20日 21時

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