検索窓
今日:9 hit、昨日:12 hit、合計:193,603 hit

2 ページ7

「ハジメマシテ、結城アレンと言いマス」

「結城君だ!」

結城アレン君、イギリスと日本のハーフ。
私がよく遊びに行くリンクの経営者、緑さん(叔母)の教え子だ。

「知り合いか?」
コーチが小声で聞く。

「はい!叔母の教え子で。来てたんだー」

「知り合いがいてよかったな」
私が頷くと、コーチがそういった。

「さて、最後は白峰さん。お願いします」

うわー、この大なり小なりメダリスト達の中でやるわけ?

「トリじゃん」
と脇腹をつつくコーチ。

「脇腹弱いんだからやめてくださいってば!」

思わず言い返す私に、周りがポカンとした顔で私を見上げた。

「えー、はじめまして白峰六花です。今回始めての合宿ですが、吸収できるものをすべてしに来ました」

「白峰……?」

「アレだろ、飛び級(スキップ)」

「でも大会には出てないんだろ?」

「"氷上のクリスティーヌ"?」
うわー、視線が痛い。
噂話が怖い。

コーチのワイシャツの襟を三回引っ張る。
SOSのサインだ。

「この状況であと何をいえば良いんですか?コーチッ!」

「好きな食べもんとかさ」

「そんな和やかな状況ですか?!」
小声で返すと、コーチは髪をかきあげて、立ち上がった。

「どーも、皆さん。六花のコーチの神谷です。皆さんの言うとおり、彼女が、"氷上のクリスティーヌ"だ」

一言一句区切るようにそう言って、鷹揚にまわりを見回すコーチ。
身長が高くモデル体型のコーチがこういう芝居がかった動きをすると、とても様になっている。

「大会に参加してないってのは、お噂の通り。おかげでこれだけのスケーターを見るのも、コイツははじめてだ。緊張しちまってんのも許してやってな」
ヘラッと笑って見せるコーチ。

あっけに取られる者、コーチに魅入る者。そして何気に顔を赤らめる者もいた。

「でもまあ、コイツはすぐにでも即戦力になるぞ。
この場で言っておく。コイツはオリンピックに出す」

ザワリとする会議室内。

ここに集まっている選手はもちろんオリンピックを目指せるだけの実力者揃い。
だけどこんなところでコーチが宣言するのはおそらくはじめてのことだろう。

それ以前に、

(私その目標はじめて聞いたんですけど?!)

「よーするに、宣戦布告だ」
私の肩をだいて、ニィッと悪戯っ子のように笑うコーチ。

(もうどうにでもなれ)
もはや悟り切った表情で「よろしくお願いします」と頭を下げた。

3→←Act.02 Before reharsal



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (98 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
199人がお気に入り
設定タグ:羽生結弦 , スケート , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - きな子さん» に、似てました……?似てましたか!よかった……キャラ崩壊起こさないように頑張ります←これから、出番が増えるかもしれないですので、今しばらくお待ちを。また遊びに来て下さい。ぜひ続編にも (2014年3月7日 12時) (レス) id: bc7eafa9eb (このIDを非表示/違反報告)
きな子(プロフ) - きゃああああ!ゆづくんの小説なのに、私のワガママを聞いて下さるとは…町田君の言動、すごくリアルでした。ありがとうございます!更新を楽しみにしてます(^o^)/ (2014年3月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 32df6a58b7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こくあさん» コメントありがとうございます! これから氷の華を乱れ咲きさせる勢いで参ります(笑) ゆづ君の独占欲は、作者は毎回楽しく書いておりますが、楽しんでいただけてよかった……。また遊びにいらしてください! (2014年3月5日 20時) (レス) id: 4452dc712a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 花梨さん» またまたお越しいただき、ありがとうございます!できる限りハイスピード更新で行きたいとこなんですが、キャラ達が暴走しておりまして←なんとか早くお楽しみいただけるように更新していきます。コメントありがとうございました (2014年3月5日 20時) (レス) id: 4452dc712a (このIDを非表示/違反報告)
こくあ(プロフ) - 読ませていただきました。本当に「氷の華」にふさわしい華やかで、そして内に秘める冷たく熱いものが凄いなと思いました。ゆづの独占欲、大好物です← 続きも楽しみにしております。 (2014年3月4日 23時) (レス) id: 7d954b9971 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2014年3月3日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。