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「それと六花!あんま男子寮ウロチョロすんなよ。一応、異性禁制らしいから」
言いながら本日二回目の大あくび。

「すみません」

「いや、呼びに来てくれんのはありがたいけどさ」

コーチが笑って私の頭をポンポンと撫でた。

「じゃあ、はじめますか!」

早く、あの技を試してみたくて仕方がない。

(早く、あの残像を消したい)

「はい!」
思わず笑うと、

コーチは一瞬身を硬くして……。

「いいお返事」
と笑ったんだ。

リンクの中は当たり前だけど寒く、選手やコーチの喋り声が反響する。

集中して、
想像する。

リンクはいま、シンと静まり返っている。

針を落とした音すら聞こえてきそうなほどの、静寂に包まれている。

そうやって想像することで、余計な音をシャットダウンする。

目を閉じて深く吸い込んで、吐く。

冷たい空気で、肺が満杯になる。

フワリと手を上へ。
空中の"何か"を掴んで胸へ。

そのままバレエジャンプ。
片脚で踏みきって飛んで、

どこまでも高く、高くーー。

ナルシストじゃないけど。
決まるとすごく気持ちいい。

これが、いつもの"儀式"

「よし!」

自分に合図をかけて。

高く、鋭く。

「3.75……」

四回転サルコウが跳べるまで、あと少しな気がした。

跳びたい。

あの残像の通りに。
まるで無理を感じさせない、ジャンプ。

「3.8……」

いつも越えられなかった、半周の壁は越えてきてる。

欲しいのは軸の細さ。そして鋭さ。

(跳びたい、結弦君と同じようにーー)

女子だから出来ない。
大会に出てない奴は弱い。

そんな偏見を、全て壊してしまいたい。

あの二人の残像を消したい。

彼の隣に立ちたいーー。

スピードを上げて、まるで景色はスローモーションで。

フワリ、と重力から解放されて、まるで天へ昇れそうな気がした。

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(プロフ) - きな子さん» に、似てました……?似てましたか!よかった……キャラ崩壊起こさないように頑張ります←これから、出番が増えるかもしれないですので、今しばらくお待ちを。また遊びに来て下さい。ぜひ続編にも (2014年3月7日 12時) (レス) id: bc7eafa9eb (このIDを非表示/違反報告)
きな子(プロフ) - きゃああああ!ゆづくんの小説なのに、私のワガママを聞いて下さるとは…町田君の言動、すごくリアルでした。ありがとうございます!更新を楽しみにしてます(^o^)/ (2014年3月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 32df6a58b7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こくあさん» コメントありがとうございます! これから氷の華を乱れ咲きさせる勢いで参ります(笑) ゆづ君の独占欲は、作者は毎回楽しく書いておりますが、楽しんでいただけてよかった……。また遊びにいらしてください! (2014年3月5日 20時) (レス) id: 4452dc712a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 花梨さん» またまたお越しいただき、ありがとうございます!できる限りハイスピード更新で行きたいとこなんですが、キャラ達が暴走しておりまして←なんとか早くお楽しみいただけるように更新していきます。コメントありがとうございました (2014年3月5日 20時) (レス) id: 4452dc712a (このIDを非表示/違反報告)
こくあ(プロフ) - 読ませていただきました。本当に「氷の華」にふさわしい華やかで、そして内に秘める冷たく熱いものが凄いなと思いました。ゆづの独占欲、大好物です← 続きも楽しみにしております。 (2014年3月4日 23時) (レス) id: 7d954b9971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2014年3月3日 15時

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