【獄都事変】鬼と地獄と獄卒と【男主】【短編集】 (ページ4)

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兄として／+佐疫・木舌ページ4

「やあA、おはよう
今日の任務では俺のフォローよろしく頼むよ～」

『あぁ、任せておけ、佐疫もよろしく』

「うん、よろしくA』

・

「いや～すまないねA！
また目玉がすっぽ抜けちゃってさ～
緑の目玉２つ、探してきてくれないかな？」

『……………仕方がないな』

「……………」

・

「あ～今日も良く働いた！
仕事終わりの一杯は格別だよ
あぁそうだA！晩酌に付き合ってよ
ついでに何か美味しいおつまみでも作ってくれると嬉しいな～」

『君という奴は本当に……
いや、佐疫も何か食べるか？簡単なものでよければ俺が作ろう』

「い、いいの？
いやでも、悪いから俺も何か手伝うよ」

『あぁ、ありがとう』

・・・・・

「何なの？木舌
いっつもAにベタベタしちゃってさ
年上として恥ずかしくないわけ？」

『………佐疫？』

任務の後、3人で晩酌をしていたところ、突然佐疫がグラスをガンと机に叩きつけ、木舌を睨みつけ始めた

そういえば佐疫は酒が弱い上に酒癖が悪いんだったな

「え～やだなぁ、俺は唯一のお兄ちゃんを頼りにしてるだけなんだよ？」

「屁理屈言わないでよ！
俺たちの中で2番目に年上なんだから、そろそろ兄離れしたらどうなの？」

「無茶言わないでよ～
俺だってたまには甘えられるんじゃなくて甘えたいの～」

「木舌のはたまにじゃないでしょ！？
そもそも俺たちは木舌に甘えてなんかないし」

しまったな、明日は任務の予定がないからと安心せずしっかり控えさせればよかった
こうなってはただの酔っ払い同士の喧嘩だ

止めるのは面倒だし、様子を見つつ好きにさせておくか……
佐疫が銃を取り出したら流石に止めるが

「そんなこと言って佐疫、ほんとは自分がAに甘えたいだけなんじゃないの～？」

「そうだけど何？悪いの？
俺だってAに甘えたいし！」

「あはは～佐疫もまだまだ子供だ～」

「木舌に言われたくないんだけど………！」

佐疫がそんなことを言うなんて意外だ

いつもしっかりしていて皆のまとめ役でもある彼でも人に甘えたくなることがあるらしい

確かに昔の佐疫は、人前ではしっかりしているが俺や肋角さんの前では褒めて欲しいようにそわそわしていることがよくあった

佐疫は努力の子だ
褒められるために努力しているわけではないが、人に褒められることもまた彼の努力への活力であったことに違いはないだろう