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「ゆっくり話でもしてね。」と私を1人にしてくれたリナさんは帰っていった。
お線香に火を点けて、香炉に置く。
両の手を合わせてそのまま目を瞑る。
『センパイのこと、思い出にしてもいいかな?』
心の内の問いかけは返ってくることはなかったけど、強く風が吹き去った。
『センパイのためにっていうの卒業するよ。
私が選んで進んだこの道をちゃんと歩んでいくから。
るゐとして、応援してくれるみんなのために届けるから。
だから、私…キヨさんを選んでみてもいいかな?』
再び強い風が吹いて、センパイの背中を押すエールなのかな、と思ってみる。
キヨさんにあの事件について打ち明けることが出来たとき。
私は前に進めたと思っていた。
でもそんなこと全くなくて。
本当の意味で変わる瞬間って今のことだったのかもしれない。
「また来年来るね。」
ぼそっと呟いて、センパイのお墓を後にする。
キヨさんのもとに戻ると、彼は忙しそうにパソコンと格闘していた。
「お待たせしました。
やっぱり、キヨさん忙しかったんだね。」
「おかえりー。
まあなー、最近動画に手がつかなかったから、編集に追われてる。」
動画と変わらない声で笑う姿に、改めてすごい人と私はいるんだなと感じて。
ちょっとだけ、想いを告げていいのか迷う。
でもそんな自制心を働かせる間も惜しくて、意を決してキヨさんに伝える。
「キヨさん。
私、キヨさんが好きです。」
車内で私の声だけが響いて、消えていった。
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銀華(プロフ) - めいささん» 本当です!!私も楽しみにさせていただきます!!! (2020年12月24日 17時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
めいさ(プロフ) - 銀華さん» それは本当ですか(T . T) めちゃくちゃ嬉しいです...!!!銀華様の作品とても楽しみにしています!!!!! (2020年12月18日 21時) (レス) id: 2bec6b726a (このIDを非表示/違反報告)
銀華(プロフ) - めいささん» コメントありがとうございます!拝読させて頂いてる作品の作者様からコメントして頂き大変有難いです。ご覧下さりありがとうございました!!! (2020年12月18日 14時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
めいさ(プロフ) - 完結おめでとうございます。文の構成がとても上手でほんとにそんけいします。私も作っている身なので、すこしでも上手になれたらいいなぁとこの作品見ながら思いました!!!読んでいてとても楽しかったです!! (2020年12月18日 1時) (レス) id: 2bec6b726a (このIDを非表示/違反報告)
銀華(プロフ) - わたなべさん» コメントありがとうございます。作品を好いてもらえるのはすごく嬉しいです!!!更新、頑張らせて頂きます! (2020年11月3日 20時) (レス) id: 8ce225486e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀華 | 作成日時:2020年11月1日 1時