冷たい少女は転生した様です

ﾀﾋの実感 ページ28

桃花side

桃花｢はぁ、はぁ、はぁ…｣

息が出来ない。

けれど、赤く染まった視界は元に戻った。

苦しくて、肩で大きく息をする。

アヤメ｢桃花ちゃん！大丈夫？｣

アヤメちゃんが駆け寄って来て、背中を摩ってくれる。

そして、また荒い呼吸を繰り返す。

まるで、肺が凍ってしまったみたい。

息が吸えなくて、器官が変な音を立てている。

顔から血の気が引いていくのが分かった。


あれ?

私、

ﾀﾋぬのかな?


アヤメ｢一回横になる？｣

そう言ってくれたのに小さく頷いて、体を横に倒す。

ほぼ使い物にならなくなった右手をゆるゆると持ち上げ、目の高さまで持って来る。

痣は気付かないうちに少しずつ大きくなっていた。

今では、右手の甲全体を覆ってしまっている。

この痣を見て実感した。


｢あぁ、ﾀﾋぬんだな。｣って__


あれだけﾀﾋぬ事を望んだのに。

あれだけ消えたいって思ってたのに。

結局、ﾀﾋぬのが怖いだなんて。


我儘だなぁ…私って。


そのうち睡魔が襲って来て、私は目を閉じてしまった。

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