023 ページ23
それからしばらく、私はタロウちゃんと連絡も取らなかったし、店の前を通ることもなかった。
タロウちゃんに、どんな顔して会えばいいのかわからなかったし…
なんと言葉をかけたらいいのかわからなかった。
松野店長から1回だけ、「何かありました？」ってLINEが来てたけど、「忙しくて」とだけ伝えて、それ以降は何も来ていない。
「ポポ〜…どうしようね」
時間があけばあくほど、どんどんわからなくなっていく。
だって、あれば多分、「オレと付き合わない方がいいよ」という拒絶だった。
好きだけど、これ以上は近付けないよって、そう言われた気がした。
はぁ、と重いため息をついて、スマホで愛犬のおやつを注文する。
ショップ…まだしばらく行けないかもだし。
そんな時。
普段あまりかかってこない、母親から電話がかかってきた。
「……もしもし？お母さん？」
母「もしもし？A元気にしてる？」
「うん、元気だよ。お母さんは？不便してない？」
母「うん、まぁお父さんいなくなって仕事は大変だけどね、でも頑張ってるよ」
「そっか…ごめんね、あんま帰れなくて」
母「いいよぉ、元気にしててくれたらそれで」
私が最後に実家に帰ったのは、二年前の夏。
お父さんが亡くなった時だ。
「……お母さんさ」
母「ん？どうしたの？」
「お父さんと結婚した決め手ってなんだったの？」
うちの両親は、誰がどう見ても相思相愛だった。
普段弱い所を見せないお母さんが、お父さんのお葬式で泣き崩れた姿は今でも忘れられない。
母「んー？そうだねぇ…。お母さんのこと、不器用なお父さんなりに大事にしてくれたからかなぁ。」
大事に、かぁ。
確かに、お父さんは寡黙で言葉足らずな人だったけど、いつもお母さんが喜ぶこと精一杯考えてたな。
「そっか…。」
母「……A？」
「ん？」
母「私はね、私以上にAのこと大事にしてくれる人と結婚して欲しいな」
「結婚て……まだ早いよ、彼氏すらいないのに」
母「そーお？地元に帰って来るの嫌だったら、お母さんいつでもそっち行くからね。彼氏できたら紹介してね。」
「うん…ありがとう」
お母さんは、それだけ言って電話を切った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴＠不登校なりかけ(プロフ) - もう…好き…（語彙力皆無）一虎くんが死ぬほど笑ってるとこ見たいな…（）いっぱい更新して下さりありがとうございます… (5月14日 21時) (
レス) @page26 id: d1eba475be (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - 鈴＠不登校なりかけさん» 初めまして！コメントありがとうございます(>_<)私生活がバタついていて、更新遅れてしまい申し訳ないです…！待っていてくださってとっても嬉しいです！これから更新頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (5月12日 0時) (レス) @page16 id: f848a8e85a (このIDを非表示/違反報告)
鈴＠不登校なりかけ(プロフ) - 初コメ失礼します。久しぶりの更新ありがとうございます〜(´；ω；｀)このお話大好きなので嬉しいです！応援してます。 (5月11日 23時) (レス) @page16 id: d1eba475be (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - あさん» 初めまして！コメントありがとうございます^^* 好きと言って貰えて嬉しいです！長らく時間が空きましたが、また更新再開しますので、どうぞよろしくお願いします！ (5月11日 22時) (レス) id: f848a8e85a (このIDを非表示/違反報告)
あ - めちゃくちゃ好きです…( ߹꒳߹ ) (2022年12月18日 7時) (レス) @page12 id: 2424924dd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷりん | 作成日時：2022年11月24日 9時
