3本 ページ4
「2人で外に出るのって初めてだね」
「しょ、そうですね」
そういえば、と心の中で付け足しておく。
なんだろうこの恋愛小説的展開。
「なんだかんだでAさんって裏仕事頑張ってくれるタイプだし、そういえば晴れの日に外でてるの見たことないし、新鮮だなぁ」
「そうですかね」
私が晴れの日に外に出れないので先輩が気を回してくださるだけなんだけど。選手からはそう見えるのかぁ。
なんてことを思いながら、いざ、しゅっぱーつ。
の、前に。
「あの、赤葦くん」
「?」
「僭越ながらお願い致しますどうかあと30cm離れてお歩き下さい」
「えっ?そんなに近かった?あ、もしかして俺のこと生理的に無理とか、だったりするか…ごめんね気付かなかった」
「めめめめ滅相もございません!!?」
あれあれ、赤葦くんこんなにネガティブだったっけ!?2年間クラスも部活も一緒だったけどこれは初めて知ったなぁ!?(錯乱)
いや私の言い方が悪かっただけだよねこれ。
「じゃあなんで…」
「いや、あの、傘をさすので、頭や肩に被害が及ばないようにと…」
「…なんで傘?こんなに快晴なのに」
「あれ?赤葦くん知らないんでしたっけ」
「何を」
「私、日光ダメなんですよ」
「?」
あっだめだ言葉足らずすぎて伝わらない。
「日光過敏症…まあ、要はアレルギーですね。日光当たりすぎると皮膚炎になっちゃうんですよ。あとこの体質のせいで日光に当たってこなかったんで日射で気持ち悪くなりやすいです。」
「へぇ…」
反応薄い。ちょっと寂しいぞ。
「ちなみにうちの学校で(裏で)噂になってる梟谷にいる傘さした小学生とは私のことです」
「そうなんだ…えっ、そうなんだ」
改めて驚かれた。それにしても不名誉な。小学生じゃないわ。
「そか、小学生って…
…ふっ…
あ、いや、ごめん…他意はない」
と言ってまたふっと笑いだす赤葦くん。
おぉ、こんな風に笑うこともあるんだなぁ。なんか感動。いや笑ってる内容は解せぬけれども。
「遠回しにちびちびうるさいっす」
「ごめんって」
まあでも、いつも木兎先輩の面倒を見ているお母さんのような赤葦くんが年相応にみえるのもなんか悪くないなぁなんて思いながら、相棒(傘)に身をすっぽり包まれた。
「俺視点から見ると傘が浮いてるみたいだ」
「ぬぅあにおぅ!?」
日に当たらないって点で都合がいいから別にいいべや。このやろ。
赤葦くん、意外と失礼なやつ。
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