ちぐはぐ兄妹（緑） (ページ2)

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ASide

「そいつは父親とソリが合わなくて、大学の頃からずっと一人暮らしして、連絡も滅多に取らないから、それほど生活が変わるって訳じゃないんだけど、母親の連れ子の高校生が心配なんだって。
自分が高校時代、進路を決めるときに父親といろいろあったみたいで。」

待って待って

「もしかして、その人の苗字って加藤？」

「ウソ？わかっちゃった？
シゲのことだなんて言ってないのに！」

今、爆弾を落とされたような気がする。

もしかして、義理のお兄ちゃんになるのって、シゲ？

「今の話、シゲなの？
え？再婚相手は看護師してるとか言わないよね？」

「今日のお前冴えてんな。エスパー？」

驚き過ぎて、祐也と顔を見合わせる。

「ちょっと、どうしたんだよ。
二人ともそんな顔して。」

言葉が出ない私の代わりに、祐也が説明する。

「俺ら、兄ちゃんが来るまでAの母さんが再婚するって話してたの。
今の話聞く限り、たぶん再婚相手、Aの母さん。」

「…えーーーー！」

そりゃ、驚くよね。

私なんか、驚き過ぎて頭真っ白だもん。

しかも、今の話じゃお父さんかなりの曲者そうだし。

「ムリ、明日学校でシゲにどんな顔して会っていいか分かんない。」

「それにしても、もっと早い段階で気づきそうだけどね。」

「シゲ、父さんに自分の職場伝えてないって言ってたからな。」

ちょっと！それ、関係がこじれにこじれてるじゃん！

・

なんて話をしてから1ヶ月。

母さんは無事に再婚し、新しい父親ができ、シゲと兄妹になった。

聞いてた話じゃかなり曲者そうだった新しいお父さんも、DVやモラハラが酷かった前のお父さんに比べたら拍子抜けするほど普通で、というか、比べなくたって普通で、3人でそれなりに上手くやれてた。

学校では今まで通りシゲと接して、普通に家に帰る。

最初は緊張していた母さんが夜勤の日の夜も、段々とゆったり過ごせるようになった。

母さんも幸せそうで、ああ、良かったな、なんて思っていた頃だった。

・

母さんと、新しい父さんが、事故で亡くなった。