【ヒロアカ】longinglove ３ (ページ8)

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「っ───」
「はぁ…はぁ…」

涙を拭い去り、店から出ようと顔を上げた時、いつからそこに居たのか、肩で息をしながら真っ直ぐと私を見詰める彼が居て…頬に伸ばされた手に恐怖を抱き、無意識に触れられまいと拒絶してしまう。

ぎゅっと何かを押し殺す様に伸ばした手に拳を作り、ゆっくりと下ろした彼はテーブルに並んだ二人分の手付かずの料理に目を向けた。

誰かと居たのだと察するには充分過ぎるそれ等と無造作に置かれたお札が惨めさを煽る。彼は通り掛かった店員に全て下げさせると「場所変えるよ」と伝票を手に取るので、慌ててそれを引ったくり再び通り掛かる店員にお札と伝票を押し付けた。

「おつりは全部、募金箱にお願いします…」

驚く店員に見向きもせず、戸惑う彼に「…出て」と促すと、何か言いたげにするも何も言わずに店を後にしてくれて、私はその後ろを少し距離を置いて追う。

何処に向かっているのか、これから何を言われるのか、彼が今何を思っているのか…想像するのも怖くなる。

「…Aちゃん」

私の名を呼び、振り返った彼は「拒まないで…ほしい」と壊れ物を扱う様に優しく私の手を取った。それに怯えてしまう私に「ごめんね…」と苦しそうに告げる彼に胸が痛んだ。

彼は何も悪くない。悪いのは私だ。彼に無用な心配を掛けてしまった。彼を拒絶してしまった私が悪いのだ。

彼にこんな顔をさせたい訳じゃない。彼にはずっと笑っていてほしい。そう思うのに、私は彼を傷付ける事しか出来無い。

繋ぐと言うよりも、ただ私の手を引いて歩く彼は無言のまま昨日爆豪君と切島君に運ばれた公園へと入って行き、全く同じベンチに私を座らせて、少し距離を空けて隣に腰を下ろした。

「…君が話したくないなら聞かないなんて、そんな殊勝な事は言えない。だから、今日は…遠慮何かしないよ」

そう真っ直ぐと強く向けられる眼差しには、彼の言葉に沿う様に確かな怒りと強い意志を宿していて、それに僅かに驚きを見せると、彼は「君は…何を隠してるの？」と核心を突いてくる。