【ヒロアカ】longinglove ３ (ページ35)

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「……元気そうで何より」
「嫌味か？コラ」

荷解きをしていた私は不意に鳴り響いたインターフォンに作業の手を休め、カウンターキッチンの近くに備え付けられたカメラを覗く。

すると、そこには久し振りに見る爆豪君の姿と切島君、そして何故か麗日さんや梅雨ちゃんも居て、取り敢えず玄関を開けに向かったのだが、私の顔を見るなり常に寄った眉間の皺を更に深くした爆豪君は現在進行形で、私の頭を鷲掴みにしている。それに対して告げたのが冒頭の台詞だ。

「頭を鷲掴みにされる意味が分からないんだけど……あ、もしかして、大丈夫？って言った方が良かった…？」
「要らねーわ！テメェに心配されるなんざ死んでも御免だ」

爆豪勝己という人は本当に理解が難しい。地味に痛いので「痛い」と言えば、爆豪君は舌打ちをし「…自分で決めたんならンな顔してんじゃねぇ」と言ってくる。

「死んだ顔してる…？」
「してるから言ってんだろ」

何が何だか分かっていない麗日さんと梅雨ちゃんは不思議そうに首を傾げて居たが、切島君は何の事なのか直ぐに察した様で「取り敢えず、中入って良いか？」と切り替える様に視線を部屋の奥へと向ける。

「散らかってても良いなら」
「おう！ほら、もう離してやれって」

漸く頭から手を離してくれた爆豪君は、自分の家の様にズカズカと部屋に入って行くので、思わず切島君と顔を見合わせて笑ってしまう。

「えと…私達も上がって良いんかな…？」

爆豪君と切島君は恐らく様子見と荷解きの手伝いを兼ねて来てくれたのだと思う。だが、麗日さんと梅雨ちゃんに関しては此処に来た理由がイマイチよく分かっていない。

出来る事ならあまり関わらない方が良いのだろう。彼が私を探しているなら、二人が彼にこの場所を教えるかも知れない。

正気の彼に会ってしまえば、恐らく涙を堪える事など出来無くなってしまう。想いを全部、伝えてしまいたくなってしまう。

彼と過ごしたあの日々が作り物だったとしても、私はそれを忘れる事など出来無いのだから。