【ヒロアカ】longinglove ３ (ページ13)

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「……生きてるよ」

そう吐き出した言葉に自分があの日に死ねなかった事を今更ながら思い知る。そう、私は生きている。今日爆豪君が来なくともこの一週間、私はちゃんと生きていた。にも関わらず生存確認をする理由が分からない。

「ﾊｯ…生かされてるの間違いだろうが、このカス。どうせ、ただ流されてこの一週間過ごしてたんじゃねぇのかよ」

馬鹿にした様に鼻で笑う爆豪君。この人は暴言を交えないと碌に会話も出来無いのだろうか、と爆豪君の言葉を半分以上聞き流しながらぼんやりとそんな事を思う。

「………」

最近、考える事をあまりしなくなった様に思う。この一週間の出来事を思い出そうとしても、期末テストがあった事くらいしか思い出せなくて、確かに山田君やあの人とも会話をした筈なのに全く思い出せないのだ。

「…睡眠と食事、適度な運動は充分健康を維持する程度には足りてるよ。何の問題も無い」
「だったら、そのウゼェ面どうにかしやがれ」

…少なくとも、昔のテメェは死んだ面はしてなかっただろ。と吐き捨てた爆豪君に「何が言いたいの」と不快だと言わんばかり眉を寄せる。

「あの時、君が止めたから私は生きてる。君の言う通り…ただ時間だけが流れているだけに過ぎないけど、それでも……無様に生き長らえてる」

強く拳を握り、じわりと浮かぶ涙を溢れ出させ無い様、必死に堪えた。この一週間、ずっと彼の事を考えない様にしていた。一度思い出してしまえば苦しくなると分かっていたからだ。

それなのに、爆豪君はわざと傷口に塩を塗り込む様に、瘡蓋を剥がす様に彼を思い起こさせる様な事を言う。

「…生きたいと思える程、私は強くない……」

彼を中心に生きていた私にはもう、生きていたいと思える理由など無い。

全部、彼が初めてだったのだ。触れる事で満たされる、言葉を紡ぎ合うだけで幸せを感じられる、名を呼ばれる度に私の存在は確かに此処にあるのだと思わせてくれた。

一方的な片想いに過ぎないのかも知れない。それでも、私の中では彼が人生の全てだったのだ。

「……余計も承知で言ってやる。テメェがあのクソナードに抱いてるもんとクソナードがテメェに対して抱いてたもんは違ぇンじゃねぇのか？」

そう食べ終えた爆豪君は水を一気に飲み干すとｺﾄﾝｯ…と静かにコップを置く。その際、コップに入った氷が形状を維持出来無かったのか、ｶﾗﾝｯ…と音を立てて崩れる光景が自然と目に止まった。