【ヒロアカ】longinglove ３ (ページ2)

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９９爆豪side ページ2

「こういった事は良くあるのか？」

そう静かに切り出した男に「病院にお世話になるのはあの時以来です」と返した根暗女の言葉に自然と此処に来る前まで病院に居たのだと窺える。根暗女の言う“あの時”が何なのかは分からないが。

「俺に会いたかったのか…？」
「あの人が勘違いしただけです。以前、少しだけアナタの話題が上がったのでそう思い込んだのだと思います」

酷く冷めた他人行儀な話し方。機械的に話す根暗女の感情を推し量る事など出来無いが、それでも昨日切島と普通に会話している事を思えば、二人の関係に親しみもクソも無いのだろう。

「迷惑でしょう。わざわざ手間を取らせてしまって申し訳無く思っています。このまま帰ってもらっても大丈夫ですよ。あの人には私の方から言っておきますので」
「…いや、迷惑とは思っていない。連絡を受ける前から俺から会いに行こうと思っていたところだ」
「生存確認ですか。それとも…その逆ですか」

抑揚の無い声で静かに告げる根暗女に言葉の意味を理解した切島が声を上げそうになるのを何とかぶん殴って阻止すると、切島は「生存確認の逆って…」と大方察しが付いていながら確認する様に俺を見る。

普通に考えて生存確認の逆の意味は死亡確認だ。だが、敢えてそれを口に出す必要は無い。生存確認だけでどちらも確認する事が出来るのだから。

しかし、根暗女は敢えて「その逆ですか」と言った。それは相手の男に死を望まれていると暗に言っている様なもので、その事に仮に相手の男が気付いているなら、彼奴の言葉は「殺しに来たのですか」とも解釈出来る。

「………」

笑い声一つ、声の弾み一つで冗談と受け取れただろうが、聞き耳を立てている俺達が察する事が出来る程の重々しい雰囲気に、嫌でも冗談なのでは無いと思い知らされる。

「A…俺はお前に死んでほしいなんて思った事は一度も無いよ」

まるで物分りの悪い子供に諭す様に言う男に対して「でも、消えてほしい、居なくなってほしい、居なければ…と、そう思っていたのも確かでしょう」と吐き出した彼奴の声色は何処か疲れを含ませていた。

「いつから…」

否定せずに、寧ろその言葉は肯定している様なもので、話を聞いている切島が飛び出すのでは無いかと視線を向ければ、切島は胸糞悪さを感じているのか、眉間に皺を寄せたまま黙って話を聞いている。