【２３８】 ページ6
―――日が暮れる頃には街の人達は街に戻り、駆け付けてくれた他県のヒーローが街中をパトロールしていた。小一時間程、仮眠を取っていた私は先程目が覚め、窓から見えるヒーローが居るこの街の光景に私の中の普通というものが遠ざかっていく感覚を朧気ながら感じていた。
私にとって、この街の光景は違和感を覚える様なものでは無かった。けれど、皆にとっては違和感を覚えるには充分過ぎるものだった様で、ヒーローを見掛けない“だけ”では無く、ヒーローを見掛けない事が“可笑しい”と、そう思っていたらしい。
些細な事なのかも知れないけれど、これが私と皆との間にある明らかな違いであると、この世界に慣れた今でもこうして時折違いの壁にぶち当たる。埋め様の無い距離、同じになれない事がこの部屋に一人ぼっちで居る今の現状に妙に当てはまってしまい「その通りじゃないか」と、この世界が嘲笑っている様にさえ思えてしまう。被害妄想が酷いったらないのかも知れない。
太陽が沈み、直に夜を迎える。いつまでも感傷に浸っている場合では無いと、寝間着から外着に着替えていた時、不意に鞄に入れていた携帯がﾋﾟﾛﾝｯと愉快な音を立てた。軽く髪を掻き上げながら携帯を確認すると、そこには焦凍君から『起きてるか？』と、短いメッセージがあった。
そろそろ移動するのだろう。そう思いながら『起きてるよ！今からフロントに行くね』と、返事をしてから部屋を出る。すると、どういう訳か、部屋の外には既に焦凍君が出待ちしていたのである。
「……あ、あの、いつから待ってたの？」
「十分くらい前か？」
「普通に起きてたから、声掛けてくれたら良かったのに」
そう言うと、焦凍君はいつかそうであった様に、徐に私の頬に手を添えると俯いてしまう。髪の隙間から僅かに見える眉間には何かを押し殺す様に苦しげに皺が寄せられていて、複雑な思いが焦凍君をこうさせているのだろうと窺えた。
「私は大丈夫だよ。正直、カイ君を説得出来るかは分からないけど、皆が守ってくれるから怖くないよ……？」
焦凍君の抱えるものが少しでも和らぐ様に言葉を掛けるけれど、焦凍君は「そうじゃねぇ……」と、ゆっくりと顔を上げて、何処かやるせなさそうに親指の腹で私の頬を撫でる。
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パル(プロフ) - ぽむさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!そう言って頂けると完結まで書き切って良かったと物凄くホッとしました。イケメンにはイケメンな事をさせたいという願望の塊で、楽しんで頂けて良かったです！最後まで読んで下さり有難う御座いました！ (2022年8月10日 10時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - え、めっちゃよかったです！！！無理やりな完結とか思えなかった！！！！めっちゃ好きな作品です！！！しょうとくんの行動にめっちゃ一緒にドキドキさせられました！！！！最高 (2022年8月10日 2時) (レス) @page38 id: 10c6d472ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年6月7日 0時
