【最終話】 ページ37
その背中を見送り、自然と零れた笑みに自分は今、確かに強くなれたのだと胸に手を当てる。この世界に来たばかりの私はもう居ない。臆病で弱虫な私を皆が変えてくれた。だから────────…
「皆を照らす一等星で居られる様に、これからもずっと、この声を届けるよ」
何も無かった私の背中。今は何処へでも飛んで行く事の出来る翼を手に入れ、漸く巣立つ。まだ見ぬ世界へ、大海を渡り切る事の出来る翼。脆弱な心は脱皮を繰り返しながら強くなる。注がれる愛情は勇気へと育ち、芽吹いて今……花を咲かす。
大空へと飛び立つ。大好きなその輝きを目指して。私もそこで誰かを照らせる様な星になる。切っ掛けという種を蒔いて、寄り添い支えながらいつの日か変わる事を信じて照らし続けたい。
人は変われる生き物だ。個性の有無は関係無いけれど、私がそうであった様に、この世界には巣立つ事も無く殻に守られた雛が多く存在している。与えられるものだけを享受しても、いつかは巣立つ時を迫られる。その時、何も怖がる事の無い様に、新しい一歩を踏み出せる様に、飛び立つ勇気を持てる様に、私はそんな人達の為に想いを伝え続けよう。
私を一等星だと言ってくれた焦凍君、私を自慢の娘だと愛情を注いでくれたお父さん、掛け替えの無い友人である皆。この世界は優しい真綿の地獄なんて、初めは思ってしまったけれど、それは弱かった私が生み出した幻覚に過ぎないものだ。
見方が変われば、世界も変わる。何かを変えたいのなら、先ずは自分が変わらないといけないという事を学んだ。その道は決して簡単なものでは無かったけれど、それでも私には焦凍君やお父さん、皆が傍に居てくれたから。
そんな風に支えてもらったからこそ、今度は支える側になる。一人ぼっちの壁なんてものは存在しないと、そう世界の見方を変えられる様な私になる。この世界で与えられたもの、変えられたものを全てこの世界に還元したい。
「よしっ！Plus ultra!!」
さあ、行こう。魔法の言葉を携えて、照らし続けよう。これが私に出来るこの世界への恩返し。少しでも皆の為になれば良いと願って。
これは、何の変哲もない平凡で在り来りで臆病で弱虫な私がこの世界に飛ばされた事で生まれ変わる事が出来た、最高の物語だ。
―完―
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パル(プロフ) - ぽむさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!そう言って頂けると完結まで書き切って良かったと物凄くホッとしました。イケメンにはイケメンな事をさせたいという願望の塊で、楽しんで頂けて良かったです！最後まで読んで下さり有難う御座いました！ (2022年8月10日 10時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - え、めっちゃよかったです！！！無理やりな完結とか思えなかった！！！！めっちゃ好きな作品です！！！しょうとくんの行動にめっちゃ一緒にドキドキさせられました！！！！最高 (2022年8月10日 2時) (レス) @page38 id: 10c6d472ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年6月7日 0時
